島津ヘリテージ。

 薩摩ルネッサンス


 目が覚めるとそこは南国でした。と、いいつつ降り立った場所はただのバス停でまずやったことはといえばジョイフルでモーニングセット食っただけなんですけどね(笑)でもここはもう鹿児島ですから! やっぱり夜行バスが一番時間をゆったり使える気がします。ぐっすり眠れたし効率的!



 身支度を整えて、まずはJR鹿児島中央駅へ。サービスカウンターにてパンフレットあれこれと、それから予約しておいた駅レンタカーの手続きをします。駅レンは久しぶりなんですが、割引パックみたいなのを使って2日間で9500円! でも車種の指定はできないので(コンパクトクラスゆえ)何が出るかなーとどきどきしてたんですが、いつものヴィッツ君でした! まあ慣れてますから一安心です。(でもたまには違うのでもいいかなーと思う)



 ちなみに今回の旅はYちゃんが現在卒論のテーマを大河ドラマ関係でやっているので、フィールドワークを兼ねた旅となっております。要は篤姫紀行なんかで紹介された名所がどういうものかを取材する旅、みたいな。(かなり平たくいうとそんな感じです)



 ということでいつもの通り、ナビYちゃんのドライバー私でスタートいたしました!



 まず向かったのは仙厳園という、元島津家の別邸だったというところへ。ところがやっぱり鹿児島の市街地でてこずります。まあね、古い町ですからね、いろいろ仕方が無いのは分かるんですよ。でもあんなに五叉路とか六叉路とかあるのおかしくないっすか!? 運命的な五叉路とか言ってる場合じゃないですよ相葉さん!(思わずつっこみ)



 あと路面電車が走っておりまして。まあ路面は広島でも乗ったし、大阪にもあるしあっちこっちで体験はしてますけどね。でも車を運転するすぐその隣を路面に走られた経験は皆無なわけですよ!(ひぎぃ!)



 教習所時代一応やりましたよ? 路面電車の交通ルール。安全地帯とかあるんでしょ。人が待ってたらどうとかありましたよ。やったことは覚えてます。でも内容なんて絶対使うこと無いわって思ってまったくかけらも頭に残ってませんよ!(だって教習所の先生も『まああまり使うことはないと思いますが〜』って言ってたもん!!)



 右折なんかもうちょうドキドキですよね。正直名古屋レベルにきつかったです。でも名古屋の方が嫌だったけど!(よっぽど名古屋が酷かったらしい)



 かなり頭の中はテンパっておりましたが(それにぶっちゃけカーナビ君も古くてたまにとんでもないとこ走ってたよ?)とりあえずなんとか仙厳園へ到着。駐車場やら門構えやらがかなりでかくてちょっとびっくりです。



 そもそも仙厳園は、確かに元島津家の別邸なんですが、それよりも集成館事業っていう島津斉彬篤姫だと高橋秀樹がやってる)がはじめた一大近代化産業の中心地だったわけですよ。反射炉とか工場とかがそこらへん一帯にあったそうです。



 最初にはいって目に入ったのが反射炉跡だったんですが、私たちばっちり反射炉については静岡で学びましたからね!(完全に偶然でしたけど)あのとき見たああいうやつがここにあったのか〜と納得です。



 さてまずは別邸の方へいきますか、と歩いていくと、立ち並ぶお土産屋さん。そのひとつひとつがすごいテーマパークみたいなんですよね、作りが。思わず二人の頭に浮かんだのは『安土桃山文化村』。まさに時代村テーマパークのちょっと高級版、な感じでございました。そりゃ年間パスポートとか作っちゃいますねー。



 ちなみに別邸といっても付随している広大なお庭があるので、まずはお庭拝見です。これが広い! そして綺麗! 海が見えるし、海の向こうにはででんと桜島が鎮座ましましており、少々天候は雨模様でしたけどなかなか素敵なお庭でしたよ。っていうか本当に広いんですよ! 敷地が!!



 奥に行くと実際に篤姫のロケに使われたという場所がちらほら。ここを尚五郎さん(瑛太がやってる役)がなきそうになりながら走っていったんだね!という完全ミーハーな感じではしゃいでおりました。



 でも本当に広くて、曲水の庭とかがあるのはもちろん、茶室もあるし、竹林(なんでも日本で初めて孟宗竹を植えた場所なんですって)とかもあるし、何気に一番すげぇって思ったのは千尋巌っていう岩! これなんと巨大な岸壁に千尋巌って字が彫ってあるんですが、3900人で3ヶ月かけて彫ったっていうお前どんだけそれ趣味に金かけとんねんな!っていう代物です(身も蓋も無い)



 ……と思って今調べたらなんと斉興(斉彬の親父)の公共事業だったらしいです。ピラミッド的なあれか!(公共事業説はわりと信憑性がある気がしてまして)斉興さんごめん。



 でも本当に他にもすごいのがいっぱいあって、発電用ダムだとか、日本初のガス燈とか、電話とか、とにかく近代化に意欲的だってのがよくわかりましたよ。バリバリの日本庭園なのにあっちこっちにそんな跡があるのがこう、世の中が変わり始めるちょうどその瞬間だったっていうのがわかりますね。それからいかに島津家の人たちがそれに意欲的だったかっていうのも。まあ琉球を治めてたって言うのもあって世界情勢にはきっと詳しかったんでしょうけど。



 ちなみに別邸内では着物をお召しのお姉さまが案内をしてくださいました。しかし昔の人のセンスっていうのはやっぱりすごいですね、釘隠しがなぜかコウモリ!(笑) いやいいんですけどねべつに。かっこいいけど! でも実際明治期まで島津家の人たちがそこに住んでたっていうのがリアルで、なかなか面白かったです。もちろん解説もすごくわかりやすくて丁寧だったし、なかなか素敵な時間を過ごさせていただきました。しかし日本家屋にシャンデリアって似合わないもんですね(笑)



 出てからはお抹茶とお菓子をいただいてゆっくりし、見残したあちらこちらをつぶしてました。しかしいちいちでかいなぁ全てが! でも確かにここはテーマパークとして成り立ちますね。だって一日まったり時間つぶせそうですもん! お庭でぼーっとするのってなんでこんなに気分がいいんですかねぇ。(ほのぼの)



 まあ時間がないのでそれから尚固集成館という博物館に向かいます。もと機械工場跡で、これも文化財だそうな。でも中はかなりかっこよかったですよ! っていうか島津ってすげぇ、って普通に思いました(笑) もちろんいろいろ歴史的なものがあるわけですが、何気に一番ツボというかかわいいなぁと思ったのが、斉彬がつけていたローマ字日記! きっと昔は秘密日記だったんだろうなぁ、なんて思ってしまいました。今は誰でも読めますけどね(笑)



 あとびっくりしたのが、家系図のてっぺんが源頼朝になってること! 思わず「お兄ちゃん!?」と驚きです。なんでもお兄ちゃんに地頭に任じられたのがはじまりらしんですけど、それにしたって家系図の上にのせなくても(笑) ……と思っていたらこれも何やらお兄ちゃんの御落胤説があるみたいですね。ま、あの当時は誰でも出自をごまかすのは当たり前だったんでどこまでが本当かはわかりませんが。



 しかし本当に島津家は安定というか、力をすっごく持ってたんだなぁっていうのはひしひしと感じますよ。金儲けがうまかったって言うのもあるだろうし、なにより先見の明があるっていうのがでかいですね。日の丸も薩摩藩が提案したのがそのまま通ったらしいですし。あの時代に日本国っていうのを意識してたのがやっぱりすごいですよね。



 一昨日に鶴ヶ城にいったばっかりなんで、ちょうど敵同士(まあ会津戦争の主な新政府軍は長州藩だったみたいですが)を見たことになるんですけど、そりゃあ新政府軍は強いわ、と。それに考え方もやっぱり違うんだろうなーとしみじみ思いました。レベルが違ったんだろうなぁ……。

 

 結局島津家って島津のじっちゃん(義久)からはじまって高橋英樹(斉彬)で終わるんだなーという認識を得たのでした。

(でも間違ってないと思うよ!)



 さてかなりの時間を仙厳園で費やしてしまったので、そこから慌てて市街地に戻ります。どうやら尚ちゃん(肝付尚五郎=小松帯刀)の銅像があるらしいよ! ということで、文化会館の地下駐車場に車をおいて市街地をめぐることに。さっそく見つけましたよ、尚ちゃんの銅像! ええ、ちょうど向いにはもっと立派な西郷さんがいらっしゃいましたけど!(笑)



 正直私は尚ちゃんの存在は篤姫を見てはじめて知ったんですよ。小松帯刀っていう名前を聞いても全然ピンとこなかったし、どう考えても大久保さんや西郷さんの方が有名でしたから。でも調べてみたらすごい人だったんですよね。ちょっと死ぬのが早かっただけで。



 竜馬とマブダチだったっていうのも初めて知りましたし、大久保さんとか西郷さんとかが活躍できたのもこの人のおかげだっていうし、きっとこの人が生きてたら西南戦争は起きてなかっただろうっていうし、とにかくめちゃめちゃ評価されてたんですよ。新政府のメンバーで一番最初に名前があがったのは帯刀くんだっていいますからね。そんなにすごいのにこんなにも地味なのは、やっぱり西郷さんや大久保さんが目立っちゃってるからでしょうか(苦笑)



 とにかく頑張れ帯刀くん! と応援した後はその他の名所をいろいろ。ちなみに鹿児島城跡は石垣だけ残っていてあとは何もありませんでした。本当は記念館みたいなのがあるんですけど、あいにく月曜日が休館日で見れず。照国神社(斉彬が祀ってある)はかなり近代的で新しくてすごかったです! 古い神社とは違う独特の空気が漂っておりました。あ、ちなみにおみくじ引いたら大吉でしたよー。あとデニム地のお守りが売ってて爆笑でした。うーん、新しいな!



 さてだいたい回ったあたりでいい加減おなかも減ってきましたので、鹿児島に来たからには豚を食わんといかんだろう、とるるぶにのっていたとんかつ屋さんへ。とんかつ定食に加えて豚トロも頼んでみます。目の前であがるのをやきもきしながら待っていたのですが、やってきたとんかつが当たり前ですけどめっちゃめちゃうまかったです! 豚トロとか本当に感動しましたもん!!

 

 私はわりとお肉に関しては鶏>豚>牛な感じで好きなんですが思わず鶏=豚>牛な感じで豚のランクがあがりましたよ! いやーマジうまいっす!! とんかつソースにゴマがはいってるのとかも新鮮でしたしね。いやーいいです鹿児島、ご飯がうまい!



 食べ終わった後はせっかくだから桜島行くか! ってことで、人生初フェリーですよ! いや、もちろん普通に乗ったことはいくらでもありますけど、自分で車運転して中に入ったのってはじめてだったんですよね!(どきどき) 今回は路面電車といいフェリーといい初体験がいろいろですねー。でも船の旅は15分くらいでしたけどすっごく楽しかったです。



 もちろん鹿児島の市街地でもそこかしこに「火山灰集積所」みたいな看板があってどきどきしてたんですが、桜島に入ると本当に山がすごいんですよ! 日本の山だっけこれ?みたいな。私よくよく考えたら活火山をちゃんと見るのって初めてなんですよね。



 とりあえずぐるっと一周してみようぜ、ってことで車を飛ばしてたんですが、そこかしこに避難所が作ってあるし、特に鹿児島市の反対側(つまり西側)の方に行くにつれてどんどん見たことの無い景色が広がっていきましてですね。



 イメージとしては富士山7合目あたりですかね。赤紫まじりのあの黒い溶岩がそこらじゅうに広がってる感じ。でも違うのは実際山からはもくもく煙が出てたりしてるわけですよ! そんな中に道がつけてあってずっと走っていくんですよ。すぐそこに火山があるっていう感じがひしひしと伝わってきてなんだかすごいんですけどドキドキするっていうか。



 もちろん有名な黒神地区の鳥居も見ましたよ。教科書とかにのってる埋まってしまった鳥居。ちなみにその隣が小学校で、さらにその鳥居の前に小さなプレハブが立ってて資料とかがおいてあるんですが、大正噴火で大隈半島と陸続きになったって聞いてびっくりですよ! それだけでどんだけすごい噴火かっていうのがね。いやはや!



 ちなみにその小学校の活動の様子なんかも展示されてましたけど、なんというか噴火や降灰にも負けずに頑張る!みたいなことが書いてあって普通にかっこいいなぁ、と思ってしまいました。輝いてましたよ!



 しかし展望台から見える景色は本当に圧巻でした。一応大学で地球学系の科目もとってたんで火山のこともひととおりやったんですが、実際見るとやっぱり全然違うな、と。説明できない大自然の迫力というか、そういうものを感じました。またさらにそれらと共存している人たちがいるっていうこともすごいなと思いました。いや、人って強い、マジで!



 一周してきて同じくまたフェリーに乗って鹿児島市内に戻ります。まだ少し暗くなるまでに時間があったので、さらにマイナーな名所を回ってみようということに。ということで向かったのが島津家の墓があるという福昌寺跡へ。実は今は高校になっちゃってるみたいなんですが(明治期の廃仏毀釈だそうな)、これまた細い道を攻めることになりましてですね!



 基本我々は旅行はいつだって歴史関係を周るんですが(義経とか伊達正宗とか)、結構普通にお墓参りも良くするんですよね。お兄ちゃんのお墓だっておまいりしたし、長曾我部元親の墓だっていきました。でもどこのお墓もまあ基本的に地味というか、平たく言うとあんまり観光地化されてないんですよね。



 普通は墓参りなんてしないのかな、と思いつつ(そりゃ歴史上の人物の最期なんてたいていしょんぼりだけどさ!)高校の裏なんで吹奏楽のホルンが聞こえる中、福昌寺跡へと向かいます。が。



 結局どれが何やらさっぱりわからなかったという……(苦笑)



 いや墓地はあったんですよ。で、Yちゃんがもってた資料を見たらなんか案内板とかそういう写真が載ってるんですよね。でも何にもないわけですよ。あれ、なんだこりゃ? ときょろきょろしてまして。結局わかんないけどここが福昌寺跡なんだよねってことで帰っちゃったんですが、今調べてみたらやっぱりさらに奥に行くべきだったみたいです。甘かった!(いや実際時間もなかったんだけどさ)ちゃんと案内板に斉彬夫婦の墓とか解説があったみたいですよ。あと門とかも。なんか悔しいな!



 そこからさらに大久保さんの像を探しにいってみたりしたんですがそうなるころにはもう日もとっぷりくれておりまして。いい加減晩飯食べにいくかーということでこれまたガイドブックに載っていたおしゃれなカフェに行きました。



 そこでも一応黒豚のパスタを食べて(だって来たからには食っとかないと/笑)、ようやく長い一日を終えてホテルに向かったのでした!



 ホテルはポイント割引やらなんやらで一泊ひとり3000円という安さだったんですが、フロントのお姉さんがJALのCAにも負けないぐらいの素晴らしい笑顔と声で応対してくださって(美人だった!)気分は良かったです(笑)部屋も確かに古かったけど満足だったし!



 しかし初日から濃いですな! これも夜行バスで早朝から動いてるおかげなんですけどね。時間の有効利用!



 今日はここまで。