人に作られた世界。

 積み重ねられた人の思いがその空間に満ちている。


 朝8時からレンタカーを予約していたのでいつも仕事に行く時間ぐらいに起きて身支度してました(笑) ひとりだからこそ時間がもったいない!と思ってしまうのは私の性分なんでしょうねー。



 素敵なホテルをチェックアウトしてまずはレンタカー屋さんへ。ジャパレンは初めてだったんですが、なんと今回の車はホンダのフィットでした! ずっとフィットに乗ってみたいと思っていたのでまたテンションがあがりました。とりあえずカーナビに東照宮をセットして、行きは地道で行くことに。普通に日光街道を通っていったと思いますー。(本当ならドライブマップがほしかったんですけどね。関東もいずれ買おう)



 途中のローソンで朝食をとりつつカーナビをいじってたんですが、カーナビがいつものパナソニックじゃなくてパイオニアでした! パイオニアのカーナビは初めてだったんですが、こっちの方が好きです私! なんか曲がる瞬間のタイミングが取りやすいんですよね。いつものやつは曲がるタイミングがつかめなくて、それこそ『まもなく右方向です』の『まもなく』がどれくらいかわかんねーんだよ! っていう。



 でもパイオニアのカーナビは『まもなく右方向です』とも言うんですけど、曲がる瞬間に『右です!』って言ってくれるんですよね。まさに今だぜ! みたいな感覚で。それが結構わかりやすくておおーって思ってました。やっぱりいろいろ比較してみないとわかんないもんだなー。



 さてそんなこんなで意外と簡単に日光東照宮についてしまったんですが、駐車場にいれるときに当たり前ですけど駐車料金を払ったんですよね。500円。で普通にあ、どーも、なんていいながら止めたんですよ。そしたらなぜか駐車場のおじさんが近づいてきまして。



 降りてきた私に言うわけです。



 おじさん「日光に用事の方ですか?」



 変な聞き方だなぁと思いながら、まあ観光という用事があってきてるんだからそうだろう、と思って、「そうです」って答えますよね。そしたら「じゃあ駐車料金いらないですよ」とかいうわけです。は?と思ってきょとんとしていると「言ってもらったらいらないんですよ」とか言われて、なぜか500円が返ってきまして。



 まあいらないっていってんだからいらないでいいんだろう、とあまり深く考えもせずにそのまま歩いていったわけですが。



 日光東照宮、の前に見えてきた看板にでかでかと書かれていた「日光幼稚園」の看板。



 こ れ か ! !



 つまり、あのおじさんは「日光に用事の方ですか?」ではなくて「日光幼稚園の方ですか?」と聞いてたみたいなのです。だって今日は平日だし、私ひとりだし。幼稚園を見に来た奥様にでも見えたんでしょうかね。あーなるほど! と、思ったもの、謎が解けたことに満足してそのままいきました(笑) まあ軽く得したね、ってことで!(こらこら)



 さて本題の日光東照宮ですが、まずは東照宮に行く前に輪王寺というお寺に向かいます。行くまで全然知らなかったんですが、日光には日光東照宮、日光三輪王寺二荒山神社の三つがあるんですよね。よくある神仏習合なんですけど、そもそも私の日光に対するイメージって、家康はんのお墓を超ド派手に祀っちゃってる場所、としかなかったので(それもだいぶ酷いよな)ちょっと驚きました。



 ということでまずは宝物殿からいって日光そのものの縁起からお勉強です。まず「逍遥園」というお庭を拝見したのですが、既にそこから外国人観光客がわらわらいてさすが世界遺産、といった感じです。お庭はこじんまりした中にたくさんの植物が植えてあって、あれこれ工夫もしてあって、なかなか素敵なお庭でした。やっぱりお庭は落ち着きますねぇ。



 宝物殿の中にはそれこそ日光山開祖のときからの資料がいろいろ展示してあって興味深かったです! そもそも私は日光が密教系のお寺だったってことも知らなくて、平安後期から天台宗で開かれてて、鎌倉時代には頼朝のお兄ちゃんが保護していたっていうし、室町時代には修験道のメッカだったなんてことも全然知らなかったわけですよ! 全然何もないところにぽーんと東照宮を立てたと思い込んでいたので。そりゃ何もないところにいきなり立てるわけ無いですよね。いやはや、不勉強でした。



 一通り見た後は山仏堂へ。輪王寺のご本尊ですね。ここまでくるとぐっと観光客が増えて、結構ツアー客に混じってうろうろしてました。ちなみに千手観音が有名だそうで、じっくりゆっくり見たかったんですが結構あっさりと流されてしまったというか……。やっぱりお寺はもうちょっとすいてるとこにくるべきですね。ちなみにすごい守り本尊を押してました。うーん、お土産戦略もいろいろ考えないといけないんですね!



 でもさすが日光にあって徳川の保護を受けてただけあってスケールはでかいです! 普段奈良や京都の古い寺ばっかりめぐっているので新鮮でしたね。東大寺もスケールはでかいですが、派手ではないですもん。朱塗りも寺としてはむしろスタンダードな装飾なはずなんですけど、なんせ京都・奈良はもう剥げちゃってるもんですから、あんまりイメージがわかないんですよね。あと密教系のお寺もなかなかいかないので新鮮でした(はやく高野山比叡山にいきたい)。



 さあいよいよメインの東照宮でございます。全体的にスケールが本当にでかいんですよ! 参道も広いし、人も多いし。でも古くに山を切り開いてるだけあって、ひとつひとつの木がめちゃめちゃでかいんです。そこに歴史を感じましたね。もはや山と東照宮全体が完全に一体化しているというか。大きな参道で広いんですけど、イメージとしては登山道を歩いているような気がしました。だってあんなに派手ででかいのに自然の中に入り込んでるってやっぱりすごいっすよ! 金毘羅さんとか鞍馬寺とかは派手というよりは急に現実をつきつけられたような違和感があって、あんまり自然と一体化してるようなイメージではなかったんですよねぇ。



 ということで鳥居や五重塔を見つつ、表門に向かいます。まずこの表門から超ど派手! っていうか彩色がめちゃめちゃ細かくてすごいんですよ! 思わず笑っちゃうぐらい手が込んでておおおお!ってなりました。しかもカラーがまさにビビッドトーンばりばりですっごいんですよ。



 で、そこをくぐって上っていくと境内なんですがこれがまーぐるっと囲まれてる全てがやっぱり超ド派手!(お前はその感想しかいえんのか)



 だって庫裏がもうすごい派手なんですもん。彩色もそうだし。あ、でも校倉造なあたりにちょっときゅんときました。そこは歴史の踏襲って感じがして。



 そしていよいよ有名な三猿にご対面。ていうかこれあるの厩(神馬がいるとこ)ですからね。一応意味もかみ締めつつこれがあの有名なやつかーと思って眺めておりました。本当に細部までこだわりたかったんだろうなぁというむしろ江戸時代の職人さんたちの思いが伝わってきましたよ。デザインセンスと思いを込めてこれをつくったのかと思うとしみじみです。そしてそれをさらに何百年も、現在に至るまでこうやって人が見に来て拝むわけですよ。関東の学生なんかほとんどここ遠足で来るんでしょ? 何が一番すごいって、そうやっていろんな人の思いや願いが集中しているってところがすごいと思います。ううむ。さすが家康はん。



 あ、三猿も面白かったんですけど水舎も結構面白かったです! なぜならば石造りなのですよ建物が! もちろん腐ったりしないようにという心遣いなんですけど、日本で石造りってほとんど見かけないじゃないですか。なので最先端だったんだろうなぁと。いやー技術が集結してたわけですねここに! そしてさらにまた発展していくというわけですよ。すげぇなぁと思いつつお手手を洗います。



 アラシちゃんでもやってました陽明門にいたってはもう爆笑です。(え?)ていうかだって、おかしいですよあれ! それこそ一日見てても飽きないとかいって日暮れの門とかいってますけど納得しました。おかしい。装飾の度合いがおかしい。何見ても何処見てもこまかーい装飾が施されてるんですよ。いっそ気持ち悪いぐらいに!!



 今の私の感性からするとゴテゴテしすぎていっそ気持ち悪いぐらいなんですが、それだけの気合と気迫はもう十分伝わってきましたよ。っていうか伝わらなかったらおかしいですよだってそれぐらい自己主張激しい門なんですもん!! これは生で見とくべきです。なんかもう本気すぎてびっくりしますから(笑)



 どんだけ金かけてんねん、どんだけ手かけてんねん、どんだけ気合はいってんねん、どんだけ本気やねん!!!みたいなツッコミのオンパレードでした。いや、すごいっす。文句なしにすごいっす! ひとつひとつの細部に至るまでに職人さんから家光はんから徳川につながる様々な人間の本気が詰め込まれてる気がして、そりゃあパワースポットにもならぁな、っつー話ですよ。すげーわー、マジでー!



 あまりにもインパクトが強すぎて麻痺してしまったのか、その両脇に広がる回廊もありえないぐらいの装飾だったんですけどもう何みてもほえーってなってました。ていうか本当に金に糸目をつけないってこういうことかと。もはや言葉にもなりません。



 ちなみにご本殿は白塗りでした。どこもかしこも朱塗りだったり白塗りだったりするので、全然木造の感覚を与えないんですよね。そこがさらにもう違和感というかなんというか、金かけてますなぁというか。どこ見ても手がこんでていて気合がはいってて油断してなくて本気を感じすぎてちょっとぐったりするぐらいです(苦笑)



 あと平成の大修理中、ということで結構見られる場所は限られてたんですが、それでも十分堪能いたしましたよ。修理終了後の完璧な姿を見たらさらにまた圧倒されるんでしょうねぇ。なんか悔しいんでもう一回心構えをしてから挑戦したい次第です。(めらめら)



 続いて奥宮に向かいます。ちなみにこちら別料金となっております(笑) まあ参拝とお墓参りはまた別ってことなんでしょうかね。



 そこに向かう門に左甚五郎作の眠り猫があるんですが……すいません。私マジで全然これについて知らなかったんですよ! そもそも左甚五郎っていう名前だけは知ってましたけどどんな人か全然知らなかったし。どうもあとで調べたら落語界のヒーローだったんですね。超有名人だったみたいで勉強不足でした。



 そんなわけでそんな有名な眠り猫を、私は結構でっかい彫刻なのかなーと思ってたんですよ。実際見たらめっちゃ小さかったです(苦笑) あれ、これがそうなの!?ぐらいで。でも良く見たら本当に小さくて可愛らしい猫ちゃんでしたよ。なんか幸せそうでしたし。ただなんでこれがここにあるのかとか、そういうのについては分からぬままでした。まあいろいろ説もあるみたいなんですけどね。



 なのでものすごいアピールされてましたけど結構あっさり素通りし、奥宮の方へ。こっちは実際の家康はんのお墓となっております。



 結構階段を上っていくんですが、それがまさに山の中を抜けていく感じですごく良かったです! あの下の喧騒が嘘のように静まり返っているというか。やっぱりお墓はお墓だよなぁ、なんて思いながら上にいくと、これまたこじんまりしたお社が。やっぱり人が眠ってる場所ですからそんなにド派手にはしないですよね。と納得です。こっちの方が雰囲気は素敵でしたね。もちろん下もすごいですけど!



 ちなみにここでおみくじをひいてみたんですが、でてきたのが「末吉」で、なんとなく悔しかったのでお守りは購入せずに帰りました。だって家康はんに鼻で笑われた気がしたんですもん! 「お前なんか末吉で十分やろ」的な(思い込み)。なので負けずに素敵な運勢を掴み取ってやりたいと思います。葵の紋なんかに負けるもんか!(笑)



 でも本当に家康はんってすごかったんだなーってしみじみです。すごかったというか、すごいものになっていったというか。もともとは一武将だし、すごい人なんでしょうけど(時勢とか運とかも含めてね!)、でもそれをここまで神格化して持ち上げていったのは後世の人々じゃないですか。それこそ元は人間だったのが神様になっていったっていうか。人を神様にできるあたりがすごいですよねー日本人って。そういうところ好きですよ!



 さて一応東照宮は見終わったかな、と思ってうろうろしていると、別の建物を発見。本地堂っていうらしいんですが、なんでも薬師如来をまつってあるそうな。東照宮境内にあるあたりが本当に神仏習合って感じですが、なんでもそこの天井に描かれた竜の絵が鳴くらしいんですよ。どういうこと? とか思って中に入ってみると。



 なんと竜の顔の真下で拍子木を鳴らすと、すごい共鳴して鈴の音みたい音になるんですよ! これはなかなかすごかったです。ちょっと位置がずれるともう聞こえなくて、そこで鳴らすのがポイントみたいなんですが、確かに昔の人にとってはびっくりですよね。こういう小技みたいなのもたまらんな!とか思ってみてました。いやーすごいわ、見るところいっぱいでおなかいっぱいです!



 ちなみにそこらへんに所狭しと灯篭がおいてあるんですが、よくみたらそれぜーんぶ寄贈されてるんですよ。誰からかって、日本中の武将たちから(笑) 中には伊達政宗から寄贈されたものがあって思わず写メっちゃいましたよ! でもやっぱり親藩とか譜代は中の方に設置されてて、外様は外の方においてあるあたりが面白かったです。日本全国の武将はとりあえず東照宮になんか送っとくのが礼儀だったんだろうなー。今も昔も変わってねぇな、なんてね(笑)



 だいたい見たかな、ということで東照宮に別れを告げ、今度は二荒山神社の方へ。東照宮も神社なんですが、こっちはちゃんとした神社(っていうのもへんですけど)由緒的には断然古いです。大己貴命(おおむなちのみこと)ってことは大国主ですからね。ちなみにその奥さんと娘も一緒に祀られてたりします。



 境内は結構閑散としてて、ゆっくりお参りができました。まあ、普通の神社ですからね(苦笑)でも東照宮よりはやっぱりこっちの方が落ち着くなーと思ってしまったのはとことん人ごみが苦手なせいかもしれないですが。



 でもこっちはこっちでめちゃめちゃ面白かったですよ! なんかミニ神社の集合体みたいになってて、小さいお社がいっぱいあるんですよ。安産の神様とか知恵の神様とか縁結びの神様とか健康の神様とか。大国主つながりで大国さまもいらっしゃるし、霊泉とかもあるし弁財天もいるし!(笑)



 境内自体はそこまで広くないんですけど、あちこちめぐってそれぞれお参りするのがスタンプラリーみたいで面白かったです。だって全部祈っとけば全部ご利益がもらえるかもしれないんですよ? なんてお手軽!(笑) この感覚がたまらないですねー。



 ちなみにばけ燈篭なんていうのもありました。火をつけると妖しい姿に化けたらしいんですが、実際に刀傷がいっぱいあるんですよ本当に! 夜に是非来てみたいっす!



 二荒山神社を堪能したあとは、輪王寺管轄の、家光はんのお墓に向かいます。大猷院っていうんですけどこれがまたスゴイのなんのって!!! もはや驚きつかれたといっても過言じゃないですよ。だってもうすごいんですもん、すごいとしか言いようがないんですもん、金かけたってことしかわからないんですもんー!(苦笑)



 でもそれでもおじいちゃんのお墓(東照宮)よりは控えめでしたよ。といっても比較すれば、って言うだけで十分孫の方も自己主張はげしかったですけどね! でも控えめな分こっちのほうがきれいにまとまってた感じはします。個人的には孫の霊廟の方が好きかもですね。デザイン的に。



 もちろんひとつひとつ手が込んでて見てて飽きないっていうよりは見るのに疲れるぐらいの装飾っぷりなんですけどね。本当に徳川はすげぇ、としかいいようがないですよ。きっとこう思わせるために作ったんでしょうから、思う壺といいますか、まあしょうがないと思います。だってすごいんすもん。勝てる気しないっすもん!(他の大名たちにそう思わせたかったんだろうなー)



 すでに見るものが多すぎておなかいっぱいだったんですが、最後のシメとして宝物館にいきました。でもやっぱり東照宮輪王寺は人がいっぱいだったんですけど、二荒山神社とか宝物館とかはぜんぜん人がいないんですよね。私ひとりで宝物館見てましたもん。そのほうが落ち着いて見られるのでいいんですけども。



 ちなみに中身は家康はん愛用の品々+全国各地の武将たちからの貢物ということでどれもこれもギラギラしてました(笑)すごいですよ本気が感じられましたよ! 



 あとおもしろかったのが神輿。3つあるんですけど、ひとつは当然家康はん。もうひとつは頼朝お兄ちゃん。そしてなんともうひとつが秀吉なんですよね!(びっくり) なんでも東照宮に一緒にお祀りされちゃってるみたいです。なんでかっていうのは実は真相は不明? ぽい? んですけど、どう考えてもそれまずい取り合わせじゃないのと思うわけですが、まあいろいろと思惑はあったんでしょうなー。



 でも家康はんて本当にお兄ちゃんの大ファンだったんでしょうね! だってそもそも日光を選んだのだってお兄ちゃんが保護してたからっていう理由もあるみたいですし。まあ自分が源氏だってことを主張してたという手前もあるんでしょうけど、やっぱりそう思うとお兄ちゃんってすごい人だったんだと思います。これは後世の人たちが持ち上げたからというよりは純粋にやったことがすごいと思いますよ。ていうか日本全国どこ言ってもお兄ちゃんの名前見かけるし!



 宝物館を出たところでようやくお昼ご飯です。日光といえば湯波! ということで、近くのおみやげ屋さんの奥が食堂になっていたのでそちらで湯波づくし定食をいただきました。おいしかったですよー。湯波ってなかなかそんなに食べるもんじゃないですからね。



 ということで十分東照宮を堪能したので(本当におなかいっぱいっすよ!)、今度はさらに奥に進んでみることにしました。



 いろは坂を車で上っていったんですが、すごいですね、あれ(笑) カーナビの地図みてびびりましたもん。あれは助手席にいたら確実に酔うと思います。よかった運転してて!



 でも一気に上までいってしまうので、明智平からみえた景色が本当に爽快でした! そしてさらに進むと、華厳の滝に向かいます。



 華厳の滝は私でも名前を知ってるぐらいなんでかなり有名なのは間違いないんですが、まさかエレベーターに乗って見にいけるとは思いませんでした!(笑) よくよく考えたらそんだけ登ってるんだから、上から見たら落ちていく様しか見えなくて当たり前なんですよね。それを下から雄大に落ちてくる様子を見ようと思えば下に降りるしかないわけで。昔はえっちらおっちら降りてたのをなんとエレベーターですとーんと降りれるわけです!(つまり帰りも超楽ちん!) 本当に人の力はすげぇなと思いましたよ。なんとなくBGMは地上の星です。(黒部っぽくて)



 下から見上げた華厳の滝は、そりゃもう見事でした。目があけてられないぐらいにね! だって天気は小雨ですよ? 水量も見事なものですし、迫力もすさまじかったです! いろは坂も含めて紅葉の季節にはもっとすごいんだろうなと思いつつ、それでも十分に堪能できました。やっぱり滝はいいですね。テンションあがります。



 本当はさらに奥に進んで中禅寺湖とかも見たかったんですけど、時間がなかったのでそこから宇都宮に引き返すことにいたしました。なぜなら、どうしても見たいものがもうひとつあったからです。



 あ、ちなみに宇都宮市街地に引き返すのに高速使ったんですが、初めてETCを使用してみました! 実家の車にはETCどころかカーナビもついてないのでいつだって人力だったんですが、今回はレンタカーということでETC標準装備ですからね。最初はどきどきしながらバーに近づいていったんですが、バーがすぱんと開いて、上から「300円です」とか言ってくれるんですよ。何これー!! 超楽ーーー!!! とひとりで叫んでました(笑) これからますます旅が快適になること間違いなしですよ!>私信



 さてそんな私が向かったところがどこかと言いますと、「大谷資料館」。これがね、もうね、すごかったんですよ……!



 ていうかまずね、多方面に私信なんですけどね、いつか絶対連れて行くから!!(ぎらぎら)



 正直今回のひとり旅で一番テンションあがったのはここです。そもそも大谷という地名も全然知らなかったし、何があるところかもわかってなかったんですが、ひとり旅を計画するにあたり栃木の観光名所をネットで検索してたわけですよ。で、宇都宮近くでなんかないかなーと思ってあさってたら、ふと目に入りまして。



 ちなみに栃木県観光協会のホームページの紹介文を抜粋しますと。



 ・・・大谷石の採掘の歴史がわかる資料館。展示場には採掘が本格的に始まった江戸中期から昭和34年頃までの手彫り時代の道具や採掘方法、運搬の移り変わりなどの資料を展示している。

 この資料館の圧巻は地下採掘場跡。そこは2万平方メートルにも及ぶ大空間で、深さは30m、最も深いところでは地下60mもあるという。切り出された石は約1000万本。まさに地下の巨大な建造物といった感じ。このほか、コンサートや演劇、ショー、能楽などの会場にもよく利用されている・・・



 地下採掘場跡ですよ。深さ30mですよ? 行く前からわくわくしてたんですが、行ったことのあるNさんに話を聞いたらますます楽しみになってきましてですね。



 宇都宮ICから車を走らせること15分。なぜかどんどん道が狭くなっていって、あれ、これであってんのかな? と思いながら標識に従って砂利道を走ります。すると、いきなり岩肌がむき出しになってる真ん中にすとんと到着しまして。見た目には全然採掘場だとかそんな感じがしなくて、確かに岩は露出してて、彫ったようなあとはあるけれど、そんな巨大な地下空間があるように全然見えません。



 駐車場にとめて、資料館はこちらと書いてあるので向かってみれば、そこにあるのはほんの小さな、それこそプレハブ程度の建物です。これが資料館?ときょとんとしつつ中に入ると、受付がありまして。



 人もお姉さんひとりしかいないし、他にお客さんは誰もいないし。あれーと思って言われるままに左手の奥にあった裏口みたいなドアをあけると……。



 あけた瞬間ひんやりとした空気が流れ出します。中は暗くて、階段が下へと続いていっています。ぼんやりとした電球のあかりだけが足元を照らしていて、一瞬で洞窟の中といった雰囲気に。



 少し肌寒いかなぁ、という気温に思わずおお!とテンションがあがります。そしてどきどきしながら一歩一歩階段を下りていくと……。





 角を曲がったそこにあったのは、もうひとつの世界でした。

 思わず、え?と目を疑ってしまうような空間が広がっていました。

 一瞬異世界に迷い込んでしまったようなそういう感覚です。自分がどこにいるのか見失ってしまうような状態で。



 ざぁっと鳥肌が立ちました。



 本当にこの感覚は行った人しかわからないと思います。っていうか写真や映像なんかじゃ伝わらないです! 広いとか、すごいとか、そういうことじゃなくて、ただ本当に地下に巨大な空間が広がってるんです。自分の小ささにびっくりするぐらいの巨大な空間が。



 目が慣れてくるにつれてだんだんその空間が広がっていくんです。よく見たら、ずっと奥までその空間が続いていて。壁や柱のようになっている部分の向こうにはさらにまた新たな空間があるんです。それこそ地面の下にはもうひとつこんな世界が広がってるんじゃないかって思うぐらいに。



 一応コースが決まっているので、その部分だけは歩いてみて回ることができるんですが、それもほんの一部なんです。立ち入り禁止の区域を含めたら、それこそ膨大な空間が広がってるんですよ。



 聞こえてくるのはわずかにいる観光客の話し声と足音と、そして水の流れる音。明かりはところどころについている白熱灯のみ。そして採掘が実際に行われていたときの様子が展示されていました。江戸時代からの手彫りの跡、その後に機械化されたあとの機械彫りの跡。



 そこでまた単純に驚きですよね。だってこんな広い空間を作ったのは、人間なんですよ。自然の脅威におののくことはよくありますけど、人間が作り出したものにこんなに驚いて心が震えることになるなんて!



 日光東照宮でも思いましたけど、積み重ねられたものの凄さを本当に感じました。それこそツルハシを振り上げてひとつひとつ掘り出していった跡がこうやって残されているわけですよ。私なんかには想像もつかないようなスケールで。



 そして観光客がほとんどいなかったおかげで、たったひとりでその場に取り残されたような感覚にとらわれたりしてました。だって立ち入り禁止のところに「ここを越えて何か事故があっても責任はもちません」みたいなことが書いてあったりするし、いっそこのまま奥へ奥へと進んでいったら違う世界につながってるんじゃないかと思うような不気味さがありました。



 もちろんきちんと観光コースの部分を見るだけで十分なんですけどね。



 でも本当に、すごかったです。是非これは一度は行ってほしい名所ですよ!





 十分堪能したあとは戻ってきて、大谷の歴史や、採掘の様子などの資料展示を見ました。こちらもなかなか興味深かったです! また近くには小さな売店(かねいり)もあって、そこで大谷石を使ったグッズや焼き物なんかがおいてあったりします。そこもなかなかよかったですよ〜。



 そこでこの旅初めての土産「大谷石の華」を購入いたしました。大谷石を模して作ってある和菓子です。口の中でほろっと崩れて、上品な甘みがお茶によく合いそうな一品です。これはオススメですよ!



 本当に大谷資料館、良かったですよ! また栃木に行くことがあれば訪れたい場所だと思います!



 さて、続いては大谷観音(大谷寺)に向かいました。



 まずこのお寺がある場所が凄いんですよ。岩の中にあるんです。岩の中、というと語弊があるかもしれませんが岩がひさしのようにせり出してるその下に埋まるようにお寺が建ってるんですよ。もちろん岩は大谷石、といいますか、まあこのあたり一帯がその大谷石でできてるわけですからね。当たり前といえば当たり前です。



 既に夕方なので人気の無い中、おじいちゃんに拝観料を払って本堂に入ります。奥の方にちらりと見える岩肌に、あれ?と思っているといきなり真後ろから人の声が!! 何奴! と振り返ると……



 ……唐突に始まった音声案内でした(苦笑)

 本当にひとり旅の良くないところはこういうときにつっこめないところですよね。思わず「びっくりしたわ!」と叫びたくなるのをぐっとこらえるこの感じ。っていうかまあこらえずに叫んでたんですけど。(おい)



 ちなみにその音声ガイドのおかげで判明したんですが、奥に見えたのは岩肌に直接彫られた観音様で、なんと平安初期に弘法大師が彫ったと言われているそうです。まあ話半分ですがそれでも昔からあるものには変わりないのでほえーっと眺めておりました。本当はちゃんと上から彩色してあったりしたそうなんですが、火事にてはげちゃったとか。それもまた歴史だなーと思いつつ眺めておりました。



 でもちょっと距離が遠かったのであまりちゃんとみえなかったんですよね。で、次の部屋にいったらそこにもなんと岩肌に彫られた仏さまがたくさん! しかも近い!! こっちも後ろから音声案内が流れてきてびびりつつ、壁面に彫り付けた仏様を眺めておりました。



 これで終わりかと思いきや、まだまだです。なんと資料館が併設されておりまして、なんとそこには縄文人の石器やら人骨やらが展示されておりました。なんとこの洞窟、元は縄文人の横穴住居だったんですって。ここまで古いと途端に文化的な気持ちが理系の考古学的な気持ちに切り替わるから面白いですよね。美術館を見るか博物館を見るか、みたいな!



 そっちも大変興味深く拝見させていただきました。ていうか、盛りだくさんだな!(笑)



 見終わった後はそのまま車を駐車場においておいて、平和観音におまいりすることに。第二次世界大戦戦没者の慰霊碑だそうなんですが近づいてみてびっくり。



 で・か・い!!



 ちょっと度肝ぬかれたぐらいのでかさでした。一応上のほうまで登ると顔と同じ高さぐらいから見れるんですけど、本当に大きいです。いや牛久の大仏(言ったことないけど)ほとじゃないですけども。



 でもここらへんの地形そのものが結構おもしろいので景色は良かったですよ。あと全然関係ないですけど公園で変な音がするからなんだろうと探してみたら物陰で兄ちゃんがケーナの練習してるのに出くわしてこれまた度肝を抜かれたりとか。(だからこういうときにつっこみたいんだってば!!)



 いい加減日もくれてきたのでラスト一箇所!と多気不動尊にいってみました。すでにこのとき16時半ぐらいかな? たいていのお寺さんは17時には閉まってしまうので無理かなーと思いつつ、多気山を車で上ります。既にその時点で道は狭いし人気は無いしで若干の不安はあったものの、途中で無料駐車場を発見したのでとりあえず駐車。もちろん誰もいやしません。



 一応案内看板で確認しようとしたんですが、既にその看板が年季が入りすぎててさらに不安が。その看板では目の前に茶屋があるってことになってるんですが、明らかにシャッターがおりてるし。あれ、これ合ってるよね、ていうかお寺自体ちゃんと存在してるんだよね廃寺とかになってないよね!?と不安を抱えつつ、てくてく標識に従って歩いていきます。



 道は一応舗装されてて車が通れるようにはなってるものの普通に山の中。え、あれ、これ本当に、あってる、よね……? とさらに不安があおられつつ、なんとか交通安全祈願所にたどり着きます。



 そこまでくると急に建物が増えて、お茶屋さんとかお土産屋さんが立ち並んでるんですけど、全部がっつり閉まってて真っ暗。そりゃそうか、もう夕方だもんな、と思いつつ、人っ子ひとりいない道の向こうに鳥居だけがみえてるこの状況がありえないぐらい不・気・味☆(だんだん楽しくなってきた)



 マジかよ、こえーよ、と思いつつ不動尊の鳥居をくぐります。まずどどんと目の前には石階段。そしてその両脇にあちらこちらにおかれている奉納の地蔵様だったり童子像だったり。すでにあたりは薄暗く、聞こえるのは木々が風にゆれる音のみ。



 一段一段上っていくと気づくのですが、小さなお社や童子像が思っていたよりも沢山あたりにはあるのです。その童子の目線がまるで全部こちらを向いてるような気がして、少しどきどきします。



 途中で分かれ道があったので、石階段から少し別れてさらに山手の奥のほうへ。しばらく進むと少し開けたところがあって、そこにあったのは。



 おびただしい数の水子供養地蔵でした。百、二百、いやそれ以上でしょうか。大小さまざまな水子地蔵が整然と並べられていて、前にお供え物が置かれています。



 この数だけ失われた小さな命があることにぞっとしました。思わず手を合わせながらも、背筋が震えます。



 さらに奥に進んでいくと、そこには……



 

 本堂があって、不動明王とご対面、できるはずだったんですけど、時間切れで普通に閉まってました(泣)



 なんだよなんだよここまでせっかく盛り上がってきたのに怖かったのに面白かったのに!!とかなぜかひとりで不満をぶつけてました。いや本堂もちゃんと外からおまいりはしましたけど。それまでの布石がめちゃめちゃ怖かったので最後にどんなんが来るんだろうとか期待してたんですけどね。残念。



 でも夕方の多気不動尊はとんでもなく不気味で怖くて素敵でした! あ、もちろん休日の昼間なんかはにぎわう普通のお寺さんですけどね。おみやげ物屋も可動してるみたいですし。(ていうか今日普通に月曜だっつーの)



 このドキドキ感は鎌倉のお墓で横井戸に入り込んでその奥を探しに行ったときの次ぐらいにドキドキしました!(たぶんYちゃんしかわからないネタ)。お墓で横井戸を見つけたんですけど、そのときいはもう水は出てなくて、単純に穴だけが残ってたんで普通の洞窟みたいになってたわけですよ。人ひとりがやっとはいれるぐらいの。で、入ってみたいなーと思って入ってきていい?って聞いたらYちゃんが「行くのは勝手やけど絶対帰ってきて!!」といわれた記憶があります(笑) まあそりゃ洞窟に入っていっていつまでたっても出てこなかったらそりゃもう神隠しですよね。で、一年後とかにひょっこり現れたりして!! まさに千と千尋の世界(笑)



 個人的に私が一番好きな怖さの系統はこういう怖さです。不気味なものが好きー。



 いい加減あたりも暗くなってきたので車返しにいかなきゃな、ということで宇都宮市街地へ戻りました。で、どっか近くでガソリン入れて……と思ってGSを探したんですがなぜか全然見つからない!! しかも夕方の帰宅ラッシュにぶつかってしまい大渋滞。しばらく走ってれば見つかるだろーと簡単に考えてたんですが、どっこい30分も走り回っちゃいましたよ! 本当にもう都会ってやつは!!(ぷんぷん)



 ようやく車を返し終わった頃にはもうぐったりだったので、晩御飯の餃子は普通に駅のモールに入っていた餃子屋さんにしました。ちなみに「宇都宮餃子館」というところなんですが、とりあえずいろんな種類が食べてみたい!ということで餃子食べ比べセット?みたいなものを注文。あとビール!といきたいところだったんですが、前回酒を飲んで夜行バスにのって痛い目を見たのでそこは普通にライスにしておきました。うう、呑みたかった!



 さて早速運ばれきた餃子ですが、これが普通にめっちゃうまい! もちろん宇都宮に来て餃子がまずかったら話にならないわけですが、本当に外はパリパリだし中はジューシーだしめっちゃうまいわけですよ! 通常の餃子はもちろん変り種の餃子もうまいっす! ていうかそもそも餃子ってうまいよね、って真顔で言いたくなるような気分でした。ご飯が進むこと進むこと!!



 最終的にライス(大)追加しましたからね(笑) いやー満腹でございます!!



 バスの出発まで時間があったので、バス停近くで入れるところ無いかなーと思ってたらなんとバス停の目の前がマクドでした(笑) なんて素晴らしい立地なんだ! と思いながら野菜生活だけで2時間ほど粘りました。しかし紙とペンと携帯さえあればいくらでも時間つぶせますよね。家でゆっくり時間があるときよりも、こうやって外にいるほうがいろいろ出来てしまうところが私のだめなところだと思います。緊張感が無いと何もできないっていう……。



 帰りのバスは久しぶりの3列シートで快適でございましたよー。



 でも本当に今回のひとり旅は死ぬほど楽しかったです。もちろんいつもの2人でいく旅も楽しくって大好きで、1人では得られない共感だとかテンションのあがりっぷりとかよくわかんないキャラ付けとかがあるので(ていうか特定すぎないかそれ)やっぱり誰かと一緒に旅行に行きたい!って思うわけですが、1人は1人のよさがありますよね。ぶらり途中下車の旅、的な。



 小学生の時から何か嫌なことがあったときにはひとりで自転車漕いで誰もいない田んぼの真ん中とかを疾走していたので、やっぱりそういうのが好きなんでしょうね。自分を見つめなおして、客観的になれるというか。そういう機会はやっぱり必要だと思うのですよ。



 またいろいろストレスがたまってきたら、ひとり旅に出たいと思います。次はどこいこうかな!



 今日はここまで。