商人の町、広州。

 初日からハードル高いよ。


 8時に関空集合だったので7時に家を出たんですが、荷造りが終わったのが深夜だったため結構へろへろになっておりました。しかも通勤ラッシュとそれこそ飛行機のる人々であふれていたのでみんな抱えてる荷物が大きいし多いしでぎゅう詰めになっておりました。普段ラッシュと無縁なのでいきなりここで体力を使いましたよ……。



 関空についてとりあえず航空券だけ受け取っておきます。今回はJALで行くので超スムーズ! 朝ご飯がまだだったのでローソンにてひといき。ついでに薬局でカロリーメイトカップラーメンなどの非常食を購入いたします(どんだけ)。まあたいがいのものはおいしく頂く自信があるので大丈夫だとは思うんですが、万が一口に合わないものがでたら、ね。



 それらもトランクにいれて、チェックイン。チェックインもWeb上で済ませたので(そしてマイレージ会員番号もいれておいたので)すべからくスムーズにすみました。前回のグアムもWebチェックインはしてたんですけど、なんせノースウェストだったので全編英語で結構不安だった記憶があります。JALはサービスが素晴らしいなぁ!と思いながら搭乗してびっくり。



 テ レ ビ つ い て る … … !



 よくよく考えたら過去3回海外にいったものの全て向こうの航空会社でした! 散々国内線でJALに乗ってるから一緒かと思ったら全然違いましたね。席ひろーい! そして何よりテレビ、テレビ!(おおはしゃぎ) ていうかパーサーがめっちゃ笑顔、綺麗、素敵、丁寧!! さすが日本航空……とぶるぶるしながらテレビの電源ぽちっとな。おお、映画がいっぱいある……ん?



 ヤ ッ タ ー マ ン 見 れ る … … ! ! ! ! 



 そこからの私のテンションの上がりようといったら人様にお見せできないレベルだったのでここでは割愛させていただきます。そりゃもう。そりゃもう映画館で6回見ましたけども何か?(満面の笑みで)



 正直中国旅行の中で一番テンションあがったのここじゃねぇかっていうぐらいのレベルでわくわくどきどきしながらヤッターマン見てました。これからやっぱり多少高くてもJALにするべきかしら。だって、機内食めっちゃうまかったし、飲み物とかすごい勧めてくれるし。これならヨーロッパとか十何時間乗ってたって平気な気がするんですけどねぇ?(与えられたつまみをぼりぼり食べながら)



 そんなこんなであっという間に(本当にあっという間だった)中国に到着いたしました。上空から姉が景色を眺めてたんですが(ちなみに姉は「ジェネラル・ルージュの凱旋」見てました。姉妹ではしゃぎすぎ)、景色はやっぱり全然違いますね。川やら山やらダムやらがいちいちでかい。そして建物がやっぱり違います。田舎の風景のはずなんですが、コンクリート建て(むしろ土?)の建物が多かったです。そしてなんか全体的に茶色い(苦笑)



 日本から4時間かけて(時差1時間も含め)「広州白雲国際空港」に到着。ちなみにこれはあとでガイドさんに聞いた情報ですが、総面積はアジア2位なんだとか。(1位の空港はタイにあるとのこと)今もまさに工事中で、その面積を広げていっているらしいです。うーん、さすが中国。



 で、到着してすぐどかどかと入ってきたのは真っ白な防護服に身を包んだ検疫官。日本はもう落ち着いたってことでやめてるみたいですが、中国は新型インフル対策としてばりばり検疫しております。ということで乗客全員が熱を測定されました。真っ白な防護服は結構インパクトありますねぇ。あと熱を測定するための機械がスピードガンみたいにおでこに向かって引き金をひくもので面白かったですけど。耳温計が3秒で計れるのは知ってましたけどおでこでも大丈夫なんですね!



 ちゃんと熱も測ってもらい、質問票も渡して、もういいだろ降ろしてくれよ、と思ったんですがここからなかなか降ろしてもらえません。検疫官が前のほうでなんかばたばたしてるし、時間かかるなーなんなんだよ、と思っていたら、なぜか後方の出口から外に出されまして。さらにバスに乗れと誘導されます。



 なんで後ろから?バス?とか思っていたらなんと、これも後から判明したことですが発熱してた人がいたらしいです! その人が前の方に座っていて、前から外に出たため後ろの方に座っていた我々は外に出されたらしく。と同乗していた日本人客がやたらと不安がっていたのはそういうことか、と納得したのでした。まあ何にせよ私達はおとがめなく外に出してもらえたのでほっと一安心でしたけど。



 空港内で迷いつつ、なんとか無事に荷物も受け取り、出口へ。現地ガイドの李さん(女性)と合流しました。夜の便で桂林に移動するので、とりあえず先にトランク預けちゃいますか、ということで国内線のチェックインカウンターへ。搭乗券を受け取って手荷物を持って空港からワゴン車に乗って広州市内へ移動することになりました。



 市内へ向かう車の中であれこれ解説してもらって、私がざっくりとしたイメージで得た感想ですが、広州は商人の街なんだな、と。昔から貿易が盛んで、それで人が集まっていて。亜熱帯に属していて農業も盛んで、それから皮革工業がさかんなんだそうです。海外からの買い付けも多いし(黒人が多いらしい)、出稼ぎ労働者も多いし(最近は広州の戸籍がなくても働けるようになってきたらしい)中国第3の都市、というのは納得の活気でした。



 田舎の方はまだまだ農地が多く、市街地に近づくにつれておそらくは労働者用の(農民の、という言い方を李さんはしてましたが、イメージはやっぱり労働者ぽい)アパートが建っていました。窓が詰まっていて窓越しに隣の人と握手が出来るぐらいに狭く、『握手家』と呼ばれているのだとか。そんな狭いおうちに一家3〜4人が暮らしてるんだそうです。それがあの数建っているってことは……と思わずさすがの中国の人口数にめまいがしました。上海では夜や早朝に移動してたんであんまり郊外の風景を見れてないんですよね。そう思うとどこもそうなのかな。



 市内に入ると車の数も増え、中心部に近づくともう大渋滞。今まではバイクでみんな移動していたらしいですが、最近バイクが増えすぎて危険ということで禁止になったらしい(なんて極端!)ということでみんな自転車移動に戻ってるのだとか。それでもまあ人、人、人!でしたけどね。今日は平日ということで車の数も多いんだそうな。



 ついでに日本で両替していかなかったので、李さんに「どこで両替すればいいですかね?」という相談をしたわけです。すると「私が用意してるから私が替えてあげるよ」とさらっと返され、1万円分を封筒で渡されたました、が。



 そのときも数えてみて「ん?」とは思ったんですが、正直我々超初心者なわけでして(苦笑)海外もそんな行ったことないし、現地ガイドつきでまわる旅行も初めてだし、なんつーかまあ、『NOと言えない日本人』なわけで。本当に典型的な感じに「……はぁ」とそのまま受け取ってしまったんですが、まああとでどう考えてもこれ足りないよね……という……ね! だいたい明細すらもらってないし。正直ここでまずテンションダウンですよ。そこできちんと、これどーなん!て言い返せなかった自分にへこみまして。



 まあそこはそれ、とりあえず第一の目的地に向かいます。広州で一番有名な観光地『五羊石像』へ。が、車を降りた瞬間からもうあついのなんのって。覚悟はしてましたけど本気で日本とは比較にならないぐらい暑いです。湿度が全然違う。気温的には31度とかそんなレベルらしいんですが、正直体感温度はもっと酷いよね……とぐだぐだになりつつ階段を上っていきます。



 ちなみに五羊石像はその名の通り5匹の羊をあしらった石像で、広州のシンボルになっております。なんでもその昔、5人の仙人が羊に乗ってやってきて、稲穂を人々に授けたそうな。仙人は帰っていったけど羊は残って、五穀豊穣のシンボルになったという伝説があるそうです。それから羊城、とか穂城、とか呼ばれてるんですって。錦秀公園というところの真ん中にあるんですが、さすがシンボル、観光客でいっぱいでした! 中国の国内旅行団体客がほとんどで駐車場は観光バスで一杯。どこも一緒だなぁと思いながらとりあえず写真をとりまくっておきました。ちなみに羊の配分はオス1匹でメス4匹。オスがでかくて稲穂くわえて一番上で目立ってるのは男尊女卑の考えからなんだそうな。さすが李さん、女性目線ですね。



 写真撮って眺めて、あとはやることがないので続いての目的地、広州博物館へ。ここは別名『鎮海楼(ちんかいろう)』と呼ばれており、同じ錦秀公園の中にあります。博物館自体が歴史的建造物ということで、見た目がザ・中国! といった感じ。中には広州の歴史をたどる形で展示してありました。なかなか興味深かったですし、歴史をもっと勉強してくればよかったなーと思ってみてたんですが、李さんがどんどん先に進んでしまうのでちょっとここでももやっと。いや、言えばいいんですよ言えば……わかってるけどさ……。(気弱)



 ちなみに李さんと話していて興味深かったのは『食は広州に在り』ってことでマジで1日5食食べるらしいです。それでも太った人はあんまり見かけなかった気がしますが、これが烏龍茶の力なんでしょうか(笑)あと犬食のシーズンは冬なんだってさ!!(あとでwikiで調べてみたら犬肉には体を温める効果があるそうな。へー。)そのあたりとてもフラットな考えで、カニバリズム以外ならわりと許容範囲なので素直にちょっと食べてみたいなと思ってしまいました。スズメとかカエルとかも抵抗ないよ!(そしてカエルは本気でうまい)



 さらーっと広州博物館を見終わり、写真も適当にとり、外に出て次はどうすんのかな、と思っているとなんと今日の観光予定は以上で終了、とのこと。まだ16時ぐらいでっせ……?と思ってたら李さん曰く、もっと渋滞していると思って時間に余裕を持たせていた、とのこと。そこで提案されたのがいきなり「マッサージとかに興味ある?」



 エステやらマッサージやらにはまったく興味のない我々は(マッサージいくなら日本で保険がきく整骨院にいくよ!)いいえ結構ですとお断りし、むしろ時間が余ってるなら多少別料金かかってもいいから『陳氏書院』(ガイドブックを見て気になっていた観光名所。ツアー日程には入っていない)につれてってくれないかと提案。ところがここから遠いし、道路状況が読めないし、飛行機にもし遅れたら大変だから……とやんわり断られ、結局土産物屋に連れて行かれることになりました。



 この土産物屋が最初の洗礼でしたね……(遠い目)



 空港近くの高級っぽいホテルの1階の土産物屋に連れて行かれたわけですが、まず客が我々しかいない。とりあえずまあ座んなさい、と中国茶のブースに連れて行かれ、お茶をいろいろいただきます。私達ふたりに対し、店員さん3〜4人がたむろっております。なんちゅうかカモです。ええそりゃもう。



 結局のところもういいよめんどくせぇよ、という心境になりライチ茶を言い値で買うことになり、姉は半泣きになり私のテンションはガタ落ち。とりあえず姉がもうテンパってえらいことになってたのでトイレに行かせ、店員さん+李さんの相手をしておりました。裏の小部屋に連れて行かれてコピー商品とかガンガンに見せられたよ☆ 本物そっくりでしょうとか言われても本物しらねぇよ、ってかブランド自体に興味ねぇっつーんだよ!!(ゆるい微笑みを浮かべながら)



 ようやく時間がつぶれたので夕食を食べることになったんですが、李さんが席を外した瞬間姉が号泣(苦笑)。気持ちもわかるので慰めつつ、私も疲れてきっていたのでほとんどご飯が喉を通らず。一応酢豚と炒め物と焼き飯が出てたんですけどね。たぶんおいしかったと思うんですけどね……。



 最終日にもう一回広州観光があるので、そのときに別料金(これも正直どんだけマージンとってんだか知らんが)で陳氏書院に連れて行ってもらうことになりました。そして最終日までに確実に金を使い切ってこようと心に刻みました。正直このときに私の月給手取りいくらか聞かれたときはドン引きしましたもんね。本当にさすが中国だねって笑い飛ばすしかないっすよねマジで!!(ふつふつと湧き上がる怒り)



 心の中が煮えたぎっていたのでそこから食事を終えて空港に行くまでの間そりゃもう李さんと盛り上がってにこやかに会話してましたよ! こんなことで中国旅行を楽しめないなんて悔しすぎますからね、まったく! 観光もご飯も買い物も全部まるごと最初から最後まで楽しまんでどーすんだっつー話ですよ!! つまり怒りの矛先は李さんでも中国という国でもなく文化を理解していなかった自分ということですので、あしからず。



 李さんと笑顔で国内線のカウンターで別れ、19時発の桂林行きの搭乗ゲートへ。国際線の雰囲気とはまったく違う国内線の雰囲気に一抹の不安を覚えつつ、言われたとおりのゲートで待っておりました。搭乗開始時間になり、係員が大声で(大声で叫ばないとあまりにも周囲がうるさすぎて聞こえない。ていうか中国人のしゃべりの大声さはすごい)搭乗開始したことを告げた瞬間。



 人がゲートに殺到してあっという間にもみくちゃになりました。



 押し合いへし合いの怒号が飛び交い我先に搭乗ゲートをくぐろうとする人々。中国人は並ばないって聞いてたけどこんなところまで並ばないのか……!!!と頭のどこかで考えながら人の波に埋もれていく我々。どう考えても席は指定席で全員決まってるし、先に入ったからって飛行機は定刻にならないと飛び立たないんだし、押し合いへし合いするより並んだ方が明らかに効率いいし気分もいいんじゃないのか……?と思うんですけどね。まあ関係ないんでしょうね。



 結局ぐったりした状態で(体力も消耗すると思うんだけどなぁ……)なんとか搭乗。桂林に到着したのは21時ぐらいのことでございました。



 さて今度は桂林のガイドさんと合流しないといけません。広州で受けた洗礼を忘れず、心を引き締めてとりかからねばならん!と気合を入れなおして出口に向かいます。するとにこやかに出迎えてくださる男性が。かなり日本語がお上手な感じで(李さんももちろん日本語は話せるけど、ですますの丁寧語ではなかった)バンに乗り込んで車がスタートしてからまず第一声が「このたびは桂林中国国際旅行社をご利用いただきまして誠にありがとうございます」でしたからね……!(感涙)



 ちなみにそのガイドさんは劉さんというお名前で、本当は肖(しょう)さんというガイドさんが来るはずだったんですが、もう1組私達と同じツアーでまわるお客さんを乗せた飛行機が遅れているとかで、変わりに送迎に来てくれたとのこと。そして本気で空港からホテルに着くまでの1時間弱、ひたっすら流れるように桂林の解説をしてくださいました。しかも笑顔を交えて!(ここ大事)



 それが当たり前だということは上海で散々学んだはずなんですが、それでもやっぱりガイドさんから店員さんから道ゆく人がみんな仏頂面だとやっぱり疲れますもん。(もちろん食事風景とかでは笑顔が出てましたよ中国の方も)接客が完全に全員真顔なので、日本の接客に慣れてるとなんともいえないんですよねー。



 おかげでささくれ立っていた心が洗われましたよ本当。桂林、いいところ……!(単純) しかも今夜泊まるホテルは日本資本のホテルということで、ロビーに到着すると常駐の日本人スタッフさんがお出迎え。埼玉出身のメガネのお兄さん(名前は聞き損ねた)がホテルマンらしい丁寧な物腰で応対してくださった瞬間にああ……と心の底から癒されたのでした。しばし雑談してたんですが、もう7年もこちらに住んでおられるのだとか。埼玉出身だそうで、日本に帰るとむしろ日本の方が違和感を覚えるらしいです(笑)



 劉さんともお疲れ様でした、といって別れたんですが(ちなみに中国語では「辛苦了(しんくうら)」というそうな)部屋に入ってみてまたびっくり。コンドミニアムとは聞いてましたけどめっちゃめちゃ広い!!!(笑) だいたい棟に入るのにオートロックかかってますもん。完全にマンションタイプです。キッチン、リビング、ダイニング、トイレ、ベッドルーム、バスルームがついてて思わずテンションあがって記念撮影しましたもん。いやーなんちゅーかすごい!



 しかもテレビでNHKのワールド放送が見れるし(オンエアバトルやってた)、ベッドに体を投げ出して、ようやく本当に落ち着いたのでした。が、とにかく疲れているし明日も早いし、連泊じゃないので荷物もまとめなきゃだし、ということでバタバタして追われるようにベッドに入ったのが0時。



 しかしまあ、初日から盛りだくさんですこと!!



 今日はここまで。