雨の桂林。

 ていうか、降りすぎ。


 7時40分に荷物持ってロビー集合! といわれていたので起床は6時。まあまあ眠れたのは良かったんですが、昨日の晩飯がきつかったのか結局朝から吐くというスタートでした(苦笑) でもまあわりと便利な胃袋をしているので特に気にせず朝食のバイキングへ。普通のホテルの洋食バイキングで普通においしくいただきましたよ! とりあえずパンとベーコンとタマゴとソーセージとコーヒーがあればなんとかなるものですね。個人的には今度海外旅行に行くときは水と一緒に「野菜一日これ一本」を持っていこうと思いましたけど(どうしても偏るしね)



 荷物をまとめてロビーへ行くと、ガイドさんが来られてました。肖(しょう)さんは劉さんとは少し雰囲気が違い、ちょっとぽっちゃりしたおっちゃんです。そしてそこで今日明日、一緒に桂林を回る方々とご対面。お姉さまお二人でございました! お友達同士で来られているそうで、海外旅行は結構手馴れた雰囲気。それでもやっぱり昨日からしたら同行者がいるだけでほっとするもので、なんとなく安心した気分で昨日同様バンに乗り込みます。



 肖さんもやっぱりすごく丁寧で素敵なガイドさんでした! しきりに謝っておられたんですが、なんとただいま桂林、ずーっと雨が続いているらしく漓江の水がめちゃめちゃ増水しているらしいです。なので最初に漓江下りをするはずだったんですが、途中からしか船に乗れないのでまずは先に鍾乳洞に行くことに。



 車で出発すると肖さんがずーっと解説してくれます。桂林の歴史やら文化やら景色についてやら……。日本語がすごくお上手で(なんと3年ぐらい大阪で暮らしておられたそうな!)移動時間中もいろいろ聞かせてもらって楽しかったですよ。なんでも7月はすごく観光客が少ないんですって。(7月はガイドの仕事これだけしかない、って言ってました。肖さんが歩合制でないことを祈ります)あとは若い子が来るのは珍しいとか、たいてい日本から来るのはお年寄りの団体客だとか。まあ確かに北京や上海に行きたい子はいるかもしれないですけど、桂林に行きたいって言う子は確かになかなかいませんよね。でも見るべきは都会よりも大自然だと思うんだ!(広州のトラウマを抱えつつ)



 桂林市内は広州に比べればこじんまりしているものの、結構な都会。ですが一歩出ると本当にマンガみたいな山がにょきにょきしててびっくりしました!!(笑) 本当に水墨画みたいでわーわーはしゃいでたら肖さんに、「まだまだもっとこれからだよ」と笑われてしまいました。でもやっぱりすごいですよねー。だって景色が全然違うんですもん!



 郊外には田園風景が広がり(二期作なのですでに穂が出ている)、舗装されていない道路をがたごとと揺られていくわけですが、農村部は農村部でたいそう興味深かったです! 見たことないけどたぶん日本の昭和30年代とかこんな感じだったのかな、みたいな。ニワトリとかアヒルとか犬とかめっちゃそこらじゅううろうろしてましたしね。たぶん全部食材だしね☆(実際市場みたいなところでアヒルとニワトリはワイルドに並べられていた)



 ということでやっと到着したのは冠岩(かんがん)という鍾乳洞。一帯がカルスト地形なんで、それこそ発見も整備もされていない鍾乳洞も無数にあるらしいんですが、その中でも最大、だ、そうです!(このあたり自信ない)入り口までは車が入れないということで、有料(30元)のタクシーにのって移動。漓江を眺めながらの移動だったんですが、まさに水は濁流という感じで茶色い水がごうごう流れてました。船着場という場所も完全に水につかっており、かなりの増水なんだな、ということがわかります。



 入り口は完全にテーマパーク化されていて、それこそ秋芳洞みたいな雰囲気。ですが一歩入るとなんとそこにはエレベーターが!! 観光用のエレベータが設置されている鍾乳洞はここだけなんだとか。そしてまた結構な高さ! ビル5〜6階ぐらいの高さはあったんじゃないですかね。外を眺めながら降りていけるんですが、中がなぜか七色にライトアップされております。日本だと洞窟の雰囲気重視な感じがしますが、どうやらこちらはSFファンタジー感重視のご様子。でももちろん綺麗だしすごかったですよー。ていうかそもそも規模が全然違う!(笑)



 秋芳洞ならそれぞれ名前がついてそうな石筍や石柱がごろごろしてました。本当にめっちゃめちゃ広いんですよ! 空間自体も広いし、長さも長いし。さすが中国、レベルが違うなぁ……と思いながら歩いていくと、なんと今度はトロッコのりばが!!!



 いつもはめちゃめちゃにぎわって混んでるらしいんですが、私たちは一番早かったらしくほぼ貸切。そしてイメージは完全に『リアル・センター・オブ・ジ・アース』ですよ! ですが、もちろんすべてが本物のアトラクションです。なんて贅沢!(うっとり) 本当に手を伸ばせば触れるぐらい(もちろん触っちゃいかんですよ!)の距離で洞窟の中をトロッコで進んでいくっていうのがインディージョーンズ感いっぱいで、まさに地底探検でしたね。いやぁ楽しかったなぁ!



 大冒険にうきうきしながら、記念写真も適度にとりつつ、やがて見えてきたのは地下水脈。と、思ったら今度はなんと船着場がありました! 小船で地下水脈を進んでいくらしいのです! しかも与えられるのはちっさいライトだけで、船頭さんは竿もったおじいちゃん。行く先は完全に真っ暗です。のええええ何、今度は『リアル・海底二万マイル』すか!と思いながらおじいちゃんが慣れた手つきでスタート。これもまたすっごかったんですよ……!(ぶるぶる)



 探検とか冒険とかロマンとかそんな言葉が満ち溢れてて本当に楽しめました。船頭のじいちゃんの竿使いも職人技だし(だって明かりが一切ないんだぜ! 客がライト消したら本気で真っ暗なんだぜ!)、何よりトロッコよりも近くでゆっくりと見れたのが素敵でした。いやぁ、こんな体験確実に中国じゃないとできないっすよね。すげぇのひとことです。



 さらに歩いていくと、今度はなんと洞窟内に滝があるとのこと。ただしここのみ別料金(20元) どうしますか?といわれて私が迷いなく見たいと主張した結果、みんなで見に行くことになりました。だってここまできて、見ないのももったいないじゃないですか。



 そしてもちろん滝も20元分の価値はありましたよ! それはそれは見事な滝でした。落差はそんなにないんですが、何より水量がすさまじかったですね。迫力満点でしたし。そこでも記念撮影し、なぜかカメがいたのでカメもパチリ(そのカメも本気で長寿なんだそうな。なんかいろいろさすが中国)。



 最終的にぐるっとまわって入り口までもどり、再度エレベーターであがっていくまで本当に盛りだくさんだったし、楽しかったです。やっぱり都会より大自然だよ、大自然!!(噛み締め) そういえば出て行くときに中国人の団体客が入ってくるところで、ちょうど空いてるいい時間帯に見れて良かったなーと思いました。



 本当は冠岩の船着場から漓江下りの船に乗り込むはずだったんですが、その船着場も増水のために無理になってしまったとか。仕方がないので入り口の駐車場まで戻り(タクシー30元)、そこで船を待つことに。しかも雨がぱらついていたのでたまたまそこに泊まっていた別の船の中で休ませてもらいました。鍾乳洞の中は涼しくて快適でしたが、やっぱり外はね。広州よりはましですけど、でも本当にせいろの中って感じですからね。(むしむし)



 しばらく船の中から漓江を眺めてたんですが、他の漓江下りの船がずーっと行き来しててなかなか面白かったですよ。あと『いかだ』も! 水量がめちゃめちゃ増えててあきらかに雨も降ってて濁流なのに、そこを竿一本で『竹を何本か縛って端っこ曲げただけ』のいかだで繰り出していくおっちゃん達がすごいと思いました。一歩間違えたらどう考えても死ぬよね!(苦笑)



 さてようやく私たちの乗る船がやってきたのでなんとか乗り込み、席に案内されます。すると船内は白人の皆様がたくさん。今まで全然白人観光客に会わなかったのでだいぶ新鮮でした。テーブルに案内されて、そこでいったんお茶飲んで休憩。パンフレットをもらい少し説明をしてもらったあと、実際上の展望台に向かいます。



 雨はそれほどではないものの、風がきつくて雨粒がばしばし顔に当たります。レインコートを持っていかなかった我々なので仕方がなく傘をさそうとしたのですが飛んでいってしまいそうなので断念。水は茶色く濁り、水かさが増えて轟々と流れていきます。正直水はめっちゃ汚いです、が……。



 目の前に広がる山々については文句なしの素晴らしい景色が広がっておりました! というか! 本当にこれを見るために私達は中国旅行を決めたのであって、そしてこれを見れるのならその他の旅のもろもろ(=広州でのアレコレ)なんてどうでもいい! と思えるぐらいの景色でした。なんていうかマンガみたい! もっというならドラゴンボールみたい!!(笑)



 日本にだってカルスト地形はありますけど、こんなに大規模なのはもちろん初めてです。しかも雨が降っているおかけで全体的に白く霞がかかり、雰囲気満点! 『雨の桂林』がもてはやされるわけがよくわかりました。山水画の世界とはこのことですね……!(うっとり)



 それぞれ有名な山には名前がついているのでそれらを解説してもらいつつ、写真をばしばしとります。本当に右をみても左を見ても壮大な景色が広がっていて、その真ん中を船で進んでいく素晴らしさといったら。他の観光客がいなくなってもずーっと姉とふたり、先頭で景色を堪能しておりました。やっぱり大自然っていうのはそれだけで人間を感動させることができるんですね。やっぱりいいものは、いい!



 ちなみに両岸は竹林が広がっていたりするのですが、日本によくある孟宗竹ではなく鳥のシッポ?に似たホウシボウ?とかいう種類だそうです。(今調べてみたんですが名前が正しいかどうかは不明)幹がまっすぐ上に伸びるのではなく少したわんでやわらかそうで、試験管洗いみたいに(このたとえわかるのか)ぼふっと生えてる感じです。この違いもなかなか面白いですねー。



 どれもこれもすごかったんですが、一応有名なのは九馬画山ですね。なんでもこちら、模様が九匹の馬に見える山なんだとか。まあ数匹はそんな気がしなくもない、かな……レベルでしたけど(笑) 中国でも九匹数えるのは科挙にトップ合格するより難しいとか言われるらしいので、まあそんなところもご愛嬌ということで。



 でも本当に楽しかったですよ漓江下り! 普段は水も澄んでいて水面に山が写って綺麗なんだそうですが、霞の山々もまたそれはそれで素敵なもの。肖さんも「こんなに綺麗なのはなかなか見れないですよ」と喜ばせてくれたので(ほんといい人)大満足でございました。やっぱり行ってよかったなぁ、桂林!(しみじみ)



 景色を堪能したあとは腹を満たしましょうということで、船内に戻り白人の皆様と一緒にお昼ご飯。田舎料理ということで李さんには「クセが強くて口に合わないかも」といわれていたのですがなかなかどうして、めっちゃうまかったですよ! スープと白米と炒め物などなど。から揚げとかめっちゃ豪快で、そのまんまぶつ切りにしてそのまんま揚げました☆という感じでした。ほとんど骨。でもうまい(笑)



 ちなみに広州のときは感じなかったんですが、こちらにくるとやはり食器が多少汚れているのはしかたがないですね。紙ナプキンで拭いておきましたけど全体的にベタベタしております。ま、そんなことは気にしませんけどねー。(気にしだすとキリがない)



 おなか一杯になったあとはしばらく休憩し、昼下がりには無事に陽朔の街に到着いたしました。船着場から街の中心まで露店がずらり、物売りがずらり。ひたすら皆様「1000円! 1000円!」と叫んでいるので1000円族というそうな。基本的に目を合わせないのが吉です。(上海の経験を生かす)



 とにかくまあ人が多いこと! ほとんどが観光客なんですが、町並み自体は確かに雰囲気があって素敵だと思います。桂林よりもずっと田舎ですしね。とりあえず肖さんに連れられて雨の中、一番陽朔で有名な西街(せいがい)という歩行者天国の商店街みたいなところへ。いろんなお店がひしめきあっていて、観光客にも一番人気な場所なんだそうです。



 ちなみにここらあたりからお姉さま方とも若干打ち解けだしてるんですが、いきなり「あなたがお姉さんですか?」と話しかけられたのには驚きました。まあ実を言うと初日の李さんにも「あなたがお姉さん?」って第一声で聞かれたんですけどね。深い意味はないのだと、そうだと思っておきます……(遠い目)。



 どうも肖さんが店主とお知り合いらしい、少数民族の小物を売っているお店でいったんトイレ休憩。その後40分ほど自由時間をとりますので自由に散策してください、とのことだったんですが、ここでまさかの豪雨。リアルにバケツをひっくり返したような雨が降り注いできたので結局向かいのメモ帳屋さん(ノートとかメモ帳とかをいっぱい売ってた。それはそれで面白かったけど)ぐらいまでしか足を延ばせず、結局ぼんやりと雨を見つめるだけで自由時間は過ぎていったのでした……。



 なぜか自由時間が終わるころにタイミングよく雨が小止みになったので、そこから車にてさらに移動。今度は胡蝶泉という鍾乳洞に向かいます。まあカルストなんでどこもかしこも鍾乳洞なわけで、冠岩みたいに巨大だったら名所にもなりますけど小さいのはあんまり観光名所にすらなっていないご様子。そんな中胡蝶泉は大きさはそれほどではないものの、蝶の形をした鍾乳石があってそれがとっても有名なんだとか。



 ということで入口の前の岩肌にはおもいっきり巨大な蝶の立体看板が。すげぇインパクトです! 蝶って基本的に小さいから愛でられるけど、巨大サイズの蝶とか完全にモスラだよね!(苦笑)ひらひらしてたら忘れている、蝶がまぎれもなく昆虫の一種であるという事実がより明確になるというか……まあ、とにかくすごかったということで。



 中に入ると少数民族のコスチュームに身を包んだお姉さんがご案内してくれます。といっても中国語なので肖さんがしっかり通訳でガイド。基本的に洞窟内は常に消灯されており、お姉さんが案内と同時に点けては消し、をするそうです。電気代節約の省エネですよね! でも日本だったら人件費の方が高いから全部機械に任せてるんだろうけどねー。



 ちなみにライトは相変わらずのレインボー。そして更にBGMつきでございました。おかげで完全にアトラクションでした(笑)でもSFファンタジーな空間もそれはそれでオツだと思いますよ。メインの蝶の形に見える鍾乳石もなかなかのものでしたし! 確かにこれが全部自然の力だけで成り立っているっていう事実が凄いと思いました。洞窟ってわくわくしますしね! しかも蝶だけじゃなくてタイタニックみたいに人が二人寄り添っているように見える石なんかもありました。ロマンチックな伝説がこれでもかと付随しているようです。古今東西、どこでも同じことは考えるものですね(笑)



 しかも胡蝶泉はひとつの山なので、展望台もあるわけです。雨も降ってたしかなり足元の悪い中外に出たり中にはいったり、岩と岩の間をすり抜けたりしながら上に着いたときは結構な達成感でしたよ。景色ももちろん素晴らしかったですしね! やっぱり山と田園風景が落ち着きます。ちなみにこの胡蝶泉、他にもつり橋があったり公園があったり池があったり、結構な広さでした。人も少なかったし(ていうか雨だしな!)ゆっくり出来そうな場所で素敵でしたよ。我々は次の予定が詰まっていたので軽く流してしまいましたが。



 さて続いては「大榕樹公園」。大榕樹、とはガジュマルのことだそうです。さすが桂林、やっぱり緯度が低いんだなぁと思っていたらまず出迎えてくれたのは見事な蓮池でした! 右も左も正面も、さらにその奥も全部蓮! しかもちょうど見ごろを迎えていてきれいな蓮の花が咲き乱れておりました。花が見れるとは思わなかったので良かったですねー。他にも園内には桂林の名前の由来である桂(モクセイ)もたくさん植えてありました。かなり広い公園で、こちらは結構な観光客の数。道行く人がなぜか頭に花輪をかぶっている(生花で作られた花輪)ので、何かなーと思っていたらおばさんたちが売り歩いているのでした。いわゆるネズミーにおけるネズミー耳なわけですね!(それよりももっと押し売り感満載だけども/笑)



 ガジュマル公園、というからにはメインはガジュマルです。なんと樹齢1400年だとかいうガジュマルがおりまして、いろんなところに接ぎ木がしてあって支えてあるんですが本当にすごい大きさの木でした! イメージは「この木なんの木きになる木」な感じですが、他の木の幹を使ってつないであるのでものすごい数の枝を(いっそ触手)延ばしており結構な貫禄でした(笑)さすが中国、なんでもでかいですな!



 記念写真をとってもらったあと(余談ですが、肖さんがめちゃめちゃ気を使って「写真とりましょうか?」と声をかけてくださいます。姉妹写真がたくさんとれたのは肖さんのおかげ!)さらに公園内をうろうろしてたのですが、見事にどこもかしこも水に浸かっておりまして。肖さんに「あれは滝ですか?」ときいたら「あ、あれ道ですね。向こうの村との橋ですよ」とかあっさり返されるレベルの浸水っぷり。あらあら、としか言えないままに観光を続けます。



 出口のところに猿回しのお姉さんがいたり、なぜかおみやげ物に混じって露店でパソコンが売られていたりしてましたけど(しかもあれどういう経路でやってきたPCなんだろうか……)なかなか面白かったです、ガジュマル公園!



 そこから陽朔の街へ帰る途中で月亮山という山も見せてもらいました。こちらは下から眺めて写真を撮るだけだったんですが、なんと山の中腹のぽっかりと丸い穴があいており、それが月のように見えるということからそういう名前なんだそうです。肖さんは登ったこともあるんだとか。それを撮るために道路に降りてわちゃわちゃやっていたら、いたるところにライチの皮が捨てられていてちょっと面白かったです。みんなおやつ感覚みたいですね、ライチ。



 車に乗り込むと肖さんから、本日の予定は以上です、とのアナウンス。ですが明日の予報はやっぱり雨で、正直予定しているハイキングその他もろもろはおそらく無理だろう。朝からいかだにのって鵜飼いを見るのが予定に入っているけれど、明日できるかどうかわからない。ホテルに帰るのが遅くなるけど、今からいかだに乗ることもできるけど、どうしますか? とのこと。今日いかだに乗れるなら乗れるうちに乗っておきますよ! と即答したのでそこからいかだに乗りに行くことになりました。



 いかだは陽朔の街のそばで行われているのですが、当初予定していたいかだ乗り場にいくとなんと大量の観光客が。中国国内旅行のツアーバスが駐車場にずらりと並んでいます。これに肖さんが「いけるかどうかちょっと見てきますから待っててくださいね」と言い置いて駐車場に残されていたわけですが。



 駐車場に入ってきた瞬間から目をつけられていたんでしょうね。私達が降りてくるのを待つようにぐるりと取り囲むのは手に細長い筒を抱えたおばさまたち。おそらく車を降りた瞬間に売りつけてくるんでしょうけど、その細長い筒がいったい何なのかさっぱりわかりません。取っ手がついているところを見ると杖のようでもありますが、なんでいかだに杖?と4人で首をひねります。結局肖さんが戻ってきて、ここのいかだ乗り場はいっぱいだから違うのりばに行きましょうということで移動になったんですが、謎は謎のまま。



 少し離れたいかだ乗り場に到着し、車を降りたんですが今度はなぜか先ほどとはうって変わって車が一台も止まっておりません。さっきはさっきで人多すぎてびっくりしたけど、こっちはこっちで人少なすぎじゃないすか!?とびっくりしていたら、なんでもこちらは外国人の観光客向けなんだそうな。でもいつもはこっちも混んでるんですけどね〜と肖さんも不思議顔。ちなみに先ほどのいかだ乗り場のいかだは2人乗りで、1m×5mぐらいの長方形に竹を組んであり、その上にパイプイス2脚とパラソルを建てただけ、という簡易いかだ(いや、いかだ自体が簡易なものですが)でした。こちらは外国人向けというだけあって、3m×7mぐらいの結構大きめのサイズで、つくり付けの屋根・イス・テーブル、テーブルの上にはピーナッツとお茶までおいてありました。



 なるほど外国人向けかーと思っていたらお兄さんに赤いくす玉みたいなものをいただき、これはプレゼント、とのこと。(物を渡されると金を取られるんじゃないかとドキドキするんですよね/苦笑)なんでも少数民族の伝統工芸品(の劣化版)だそうで、本来は刺繍なんかをほどこしてあるものらしいです。もらえるものはありがたくいただき、いざいかだへ乗船。



 船頭のおじいさんが長い竿一本でいかだを操り、川へと出て行きます。ちなみにこの川は漓江ではなくその支流、なので流れも落ち着いておりまったりした感じ。しばらくするすると進んでいくと、今度は隣からもっと簡単ないかだに鵜を乗せたおじいさんがやってきました。



 日本の鵜飼いは写真でしか見たことがないのですがなんとなくイメージはわきます。肖さんも日本の鵜飼いは見たことないものの、お客さんからよく話を聞くそうで、日本の鵜飼いとの違いは鵜がヒモでつながれていないことだそうです。確かに見てみると、首のところを魚を飲み込まないように縛ってあるのは同じですが、完全に放された状態です。それなのにちゃーんと均等にいかだ上に整列しているのです。



 そして私達が見えやすいところまで来ると、竿をばしゃんと水面に叩きつけ、掛け声とともに鵜に指示。すると鵜は言われたとおりにさぶんと潜ります。ものの数十秒で戻ってきたかと思うと、ちゃーんとおじいさんの竿の先にちょこんと乗っかっていかだに戻ってくるではありませんか。もちろん魚もゲットでございます!(鑑賞用なので捕まえた魚は私たちに披露されたのちリリースされますけどね)



 肖さんが声をかけてくれたおかげで3〜4回見せてもらえたんですけど、本当にかしこいんですよ! 正直日本の鵜飼いはかなり無理矢理感が漂う気がするんですが、こっちの鵜飼いは鵜も誇りを持っていそうな感じでかっこよかったですねぇ。鵜もおじいさんも職人、って感じがして!



 すげーすげー言いながら拍手してたら、肖さんが小ネタを披露してくれました。

 

 「漓江の鵜がなぜこんなに賢いのかってよく聞かれるんで、いつもこう答えます。漓江(りこう)の水を飲んでるからだよって」





 さすが肖さん、貫禄の漓江ジョークですね。(日本人大喜びだそうな)



 鵜飼いを見たあとものんびりした雰囲気でずずいと進んでいきますと、先ほど人気で載れなかったもうひとつのいかだ乗り場からのいかだと合流いたしました。あっちはさすがに危ないのかみんなライフジャケット着用なんですが、それぞれのいかだ同士で楽しそうに水鉄砲で水をかけあってらっしゃいます。その水鉄砲というのが、さっき駐車場で囲まれたあの杖みたいな筒! ああ、あれは水鉄砲だったのか! とようやく納得して眺めていたのですが、皆さんかなりいかだをエンジョイしてらっしゃるようで。まるで海辺のバカップルのようにキャッキャッとはしゃいでおられる様をほほえましく見守っていたのでありました(笑)

 

 ようやく今日の予定がすべて終了です。本日のお宿は陽朔なので、いったんホテルに行って皆さん疲れただろうから1時間ほど休憩してから夕食にしましょう、ということに。陽朔のホテルは桂林のコンドミニアムに比べればもちろんランクは落ちるのですが、それでもまあまあきちんとしたところだったと思います。ただ本気で客が少ない時期らしく、朝食はバイキングの予定だったんですが変更になっておりました。まあなんでも食えれば問題ないのでねー。



 1時間ほど休憩時間をもらってたんですが、せっかくだから付近散策してみようぜ!ということで近くのスーパーへ。スーパーはたかられる心配もふっかけられる心配もないので安心ですね☆(トラウマ) いろいろ冷やかしつつ、そこのワゴンセールにてお菓子が10元ぐらいで売られていたので、お土産これでいいんじゃねぇ?という結論に。何のお菓子なのかはよくわからないけれど、写真から察するにゴーフル的なもんだろたぶん!ということで家の土産用に2箱購入。ちなみに箱には『薄脆』って書いてました。こういうところで漢字の便利さがわかりますな!



 お茶コーナーがあり姉はここでお茶を買うことにしたらしくいろいろ物色していたので、私は日用品などを冷やかし。1本2元でかわいいスプーンが売っていたのでこれ土産にいいじゃん!ということで買い込むことにしました。スプーンが土産に入っていた人は1本30円程度なのですがご容赦ください(笑)



 時間がきたのでいったんもどり、みんなで夕食に。先ほどいった西街の中にある料理屋で名物料理をいただきます。ドリンク1杯サービス、ということで選べるのはビールかコーラかスプライト。当然のごとくビールをいただきました! あっちのビールは度数が低くてすいすい飲めます。さっぱりしていてなかなかおいしいです。



 ちなみにこのときに肖さんにハンコ用の石をいただきました。丸印と角印両方で、本当かどうかはわかりませんが瑪瑙なんだとか。石代は無料だけど彫り賃は別で、今名前を書いて依頼したら明後日の朝に出来上がり、とのこと。肖さんが本当にいい人でちょっとほだされたというのと、やっぱりせっかくだからハンコ欲しいよね、ということで姉は普通に丸印に名字で、私はせっかくなので角印にフルネームでいれていただくことにしました。しかも篆書(古い書体)で! 私の名前は画数が多いのでどうなるのか楽しみです。ちなみに肖さん曰く、彫り師は中国ハンコ協会的なものの会長さんなんですって。ホントどこまで本気なのかしら!(笑)



 さていざ晩御飯です。基本のメニューは昼食と似たような感じですが、何でも陽朔名物はビールの煮魚なんだそうな。もちろんどのメニューもおいしくいただいたんですが、川魚はやっぱり小骨が多いすね!(苦笑)でも悔しいので必死に食べてしまいました。お姉さま方が小食だったので(むしろ我々が大食漢なだけですが)ずーっともぐもぐやってました。でもせっかくですしね!



 晩飯のあとは少しだけ自由時間をいただき、西街を散策。先ほどは時間帯が早かったのと豪雨だったのとで人が少なかったんですが、雨が上がって夜になるとそりゃもう祇園祭か!っていうぐらいの人でにぎわっておりました。半分くらいは欧米の方で、お店でも普通に英語が通じます。何か欲しいものがあったら買おうかなと思ってたんですが、特に目新しいものがなかったのでうろうろ眺めて過ごしておりました。



 すると姉が「掛け軸が欲しい!」と言い出しまして。ええまあ中国ですし桂林ですから、ザ・水墨画!って感じの掛け軸がたくさん売っているわけで。欧米の方たちが主に喜んで買って行きそうな感じのやつなんですが、まあ定番といえば定番です。欲しいんだったら買えば、と待っていたのですがいつまでたっても店員さんに声をかけられそうになかったので、結局私が値段交渉して買ってしまいました。120元のを90元に値切ったんですがたぶん70元でもいけたと思います……。最初にふっかける額を間違えましたね。でもまあ姉も納得だったのでいいかなと。



 満喫したのちホテルに帰還。今日も今日とて盛りだくさんだったなー! と一息つこうとして、そこで初めて母からのメールに気づきました。



 「奈良県庁の面接通知が届きました」







 … … な ん で す と ! ?



 完全に想定外の事態で慌てて母に電話かけて「今中国の陽朔ってとこにいるんやけどーっていうかそれはどうでもよくて、え、マジで!?」という動揺ぷりを晒し、電話を切ったあともずーっとベッドの上に転がってえーえー言ってました。完全に今年は無理だと思っていたのでよもやそんな事態になるとは思ってなかったんですよ!(じゃなきゃ中国旅行になんてきてねぇ)



 姉は姉で「おまえ来年から県庁かー」とか言い出すし、知らない間に「もし受かったら……(ほわほわほわ)」と妄想が脳内再生されていくし何がどうなってえええええ!?







 最終的に旅行が終わるまでこのことは忘れる、という結論に落ち着きました。ジタバタするなら日本に帰ってジタバタできる環境でした方が早いってことですよ!



 

 ちなみに今夜のホテルは昨日よりはちょっとグレードがさがるのでNHKは見れないんですが、その代わり我ら姉妹ご贔屓の(なんなら中国旅行の動機となった)ジェット・リー主演の「ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ」というカンフー映画がやっていたので、英語字幕で堪能しておりました。やっぱりリー素敵!



 とにもかくにも、濃い中身!



 今日はここまで。