洪水の桂林。

 貴重な体験ばかりだよ!


 朝の集合時間がゆっくりめだったのでぐっすり眠れました! 朝食に行ったら私とお姉さま方とあと1組しか宿泊していなかったらしく、広い食堂の隅っこで昨日と同じ定番ブレックファストをいただきます。ちなみに向こうのコーヒー用のミルクはもれなく色がついておりました(薄い茶色)。これが生の色なのか、別の何かなのか。まあ深く考えないのが吉ですがね☆(慣れてきた)



 荷物をまとめてロビーに集合し、肖さんから本日の予定。



 雨がやみません。洪水が悪化しています。なんなら15年ぶりぐらいの規模の洪水です。昨日はできた漓江下りも今日は中止になっています。もちろん予定していたハイキングは全て中止(行き先が浸水)、お昼を食べようと思っていた公園も浸水しています。なので、別の村に目的地を変更し、昼食はこのホテルに帰ってきて食べましょう。午後は近くの公園などが浸水していなければいけると思います。が、よろしいでしょうか?



 どうしようも、ないよね!(いっそすがすがしい笑顔)



 肖さんが本当に何回も謝ってくれるのですが、天候はどうしようもないし、何ならこんな珍しい状況が見れるのもなかなかないわけですからね。洪水の桂林見ようと思ったってなかなか見れないよ!(笑)もちろんハイキングがメインのツアーだったので残念といえば残念ですが、何か知らないものを沢山見れるならそれで十分だとも思うわけです。



 というわけで急遽農村見学に変更になったので、車に乗り込み陽朔の町を離れます。走行中、ぼんやりと外を眺めていたらふいに道端でシシマイが踊っているのを発見。(ちなみに日本のシシマイよりもずっと派手でカラフル、かつごついです! カンフー映画で良く見るので私達にとってはお馴染み)うわぁ生シシマイださすが中国!今日はお祭りか何かなのかな!とテンションをあげていたら肖さん曰く「あれ、お葬式ですね」



 異文化を感じる瞬間でございます。だってやたら派手な車が並んでいてパチンコ屋の開店時によくおいてありそうな花輪とかも並んでてシシマイが踊ってたら祝い事かなって思うじゃないですか。でも、これぐらい派手な葬式の方が楽しい気はしますけどね。なかなかこれまた貴重なものを見れて良かったです! すごい!



 農村に向かう途中の車でも昨日同様肖さんがいろいろ景色などについて解説してくださいます。お米も沢山作っているけど、サトウキビも生産が盛んなんだそうな。見渡す限りの田園風景、のち背後にはニョキニョキした山、という風景に貫禄があります。たまに山も名前がついてるやつがあるみたいでそれを教えてもらったり、日本の米と中国の米の話をしてもらったり。ちなみに肖さんは日本の米の方が好きなんだそうです。でもチャーハンにするならやっぱり中国の米の方がうまいよね、とのこと。うん、そりゃそうだよね(笑)



 一本道をひたっすら農村に向かって走っていたわけですが、ふいに車が止まります。あれ?と思って前を見てみると、なんと警察(向こうでは公安とかく)が!! パトカーが何台も止まっており、公安の人がなにやら止まれと言っています。ドライバーさんと肖さんが私達を車に残して公安の人に事情を聞きにいった結果、なんとこの道の先が浸水していて進めないとのこと!



 とりあえず降りて行ける所まで行ってみましょう、と言われたので慌てて車を降り、道を歩いていきます。他の車も止まって困っている様子で(だってどこまでも続く1本道で分岐なんかないもの)、周りの田んぼも見事に水に浸かっています。もう稲穂がでてるのにこんなに水ついちゃって……と農家生まれの我々は心を痛めつつ、さらにしばらく歩くと。



 目の前が湖でした。



 一瞬は……?となるぐらい広い湖ができあがっており、遠くの方に道の続きが見えないこともない、かな……?レベル。その湖の上を沢山の人を乗せたエンジンつきのいかだが走っておりました。緊急渡し船で、えええええコレ結構マジ大変なんじゃないの……? とびっくりしていたら、現地の人たちはそれなりには落ち着いてらっしゃるみたいです。農村の人たちはすごいっす……。でも隣を普通に『救援物資』って書かれたトラックが通過していったりしてなんか、すごかったですよ。



 これはもう普通に進めないし、農村見学も無理だよねぇ……と思っていたら、なんと肖さん、近くにあった普通の集落(観光地でもなんでもない)に行ってみましょうか、と。まあこれもなかなか見れないし、ということで集落にお邪魔したわけですが、初めて来たところのはずなのにすごく懐かしい雰囲気。結局私も田舎生まれの田舎育ちで、田んぼの真ん中の、古い家が立ち並ぶ風景には親近感があるんですね。もちろん私が育った頃にはすっかり道路も舗装されていたし、家もずっと立派で大きかったけれど、でも路地裏の雰囲気とか納屋の雰囲気とか、見たことあるような気がするんですよね。書きましたけどそれこそ昭和の日本ってこうだったんだろうなぁ、と。



 にわとりや犬が放し飼いされてて、子供達が走り回っていて、おじいちゃんおばあちゃんが玄関の土間で本読んでたり子供の面倒みたり内職したりしてるんですよ。おばさんはみんなで集まって裏の用水路でお洗濯してるし、きっとおじさん達は田んぼにいったり街に働きにいったりしてるんだろうなぁ……ということが想像に易いわけです。



 これはこれで貴重な体験ができてよかったな……としみじみ見学させていただいていたら、さらに肖さん、「こちらの家が見せてもらえないかちょっと行ってきますね」とさらっと人の家にはいっていくではありませんか! え、これ普通の人の家じゃねぇの!?と門の前でアタフタしていたら肖さんが「OKですよ。中入りましょう」とのこと。玄関にはおじいさんが本を読みながら座ってらっしゃったんですがお邪魔します……と玄関の土間に入らせていただきましたよ。普通ににわとりが古い鍋に入れた米つついてて、後ろの棚には毛沢東の写真とか三国志の神様?みたいな絵とかいっぱい貼ってありましたよ! 土間から続きの部屋は扉が閉まってたんですけどそっちは寝室とかだそうです。じいちゃんも一切気にすることなく本読んでるし、肖さんが適当にわからないことあったらじいちゃんに聞くし、ていうかなんでじいちゃんも肖さんも普通なの、これ当たり前なの……?とハテナを飛ばしながら見学させていただきました。



 まあ貴重ですよね! だって明らかに観光地じゃないもんね! 普通の農村の普通の農家の普通のお宅にお邪魔させていただいたわけですから。いや本当に貴重な体験をさせていただいて面白かったです。そしてやっぱり懐かしかったので、それはそれで楽しかったんですよね。外は洪水だけども(笑)



 お礼をいってお暇し、ここから先には進めないのでまた別の町に行くことになりました。まあ、たぶんそこも洪水で浸かってそうな気はしますけどね!(もういっそ楽しみ)



 ちなみにそのあたりで霊柩車とすれ違いました。おそらくさっき見たお葬式のなんですが、単純にトラックに棺おけを積んでる感じの車です。そしてなぜか車に乗ってる人たちが黄色い紙をばらまいて進んでるんです。これは肖さん曰く、お金のかわりだそうで、死後の世界でもお金にこまらないように黄色い紙をまくんですって。なかなかこれまた貴重な体験でしたね。



 さて私たちが次に向かったのが福利という街。田舎の街ですが、扇の生産がさかんな街なんだそうで市場とかも立つのだとか。が、まあ普通に雨がざぁざぁ降っておりますので昨日スーパーにて仕入れた一枚2元のぺらっぺらのレインコート(とすら呼べない)を着ていざ観光に向います。



 人っ子ひとりいない(みんな玄関に引っ込んでる)道を歩いていったんですがさっきの農村に比べれば道は整備されてるし(石畳)、お店もあったりしてちょっとした街という感じですね。これもまたさっきとは雰囲気が違ってなかなか面白いです。雨の中でも扇を作ってる工房があったので中を覗かせてもらったりもしてました。



 だらーっと歩いて街の奥のほうにいったんですが、なにやら道の向こうに人だかりができております。なんだろう、と思って近づいてみると。



 ここもやっぱり道が川になってごうごうと濁流が流れておりました……(苦笑)



 そりゃそうだよね、洪水だもんね、となんともいえない気持ちになり引き返してきたのでした。でもこれまたこれで楽しかったんですよ! ほんとですよ! そこから陽朔まで戻る車の途中、橋の上でいい景色見れたりもしましたし!! まあホテルについたときはそれなりにぐったりでしたけども、ね(苦笑)



 さてようやくお昼ご飯です。ホテルのレストランで毎度のごとくビールを頼み(絶対ビールかスプライトかコーラらしい)、円卓にどんどん料理が並べられたわけですが、このときのご飯が中国旅行の中で一番のヒットでした! というのもチャーハンがめちゃめちゃうまかったんですよ。肖さんがチャーハンはやっぱり中国の米の方がと言っていた意味がよーくわかるパラパラ具合で、やっぱりそれ用の米じゃないとおいしくないというのは確かに納得のうまさでした。具とかも野菜とハムと卵とかそんな感じのシンプルなものだったんですけどね。おいしかったです! 他のおかずも概ね納得のおいしさだったし、お姉さま方ともすっかり打ち解けつつあったので楽しいお昼ご飯になりました。うまかったー!



 少し休憩したのち、午後からは「世外桃源」というところへ。その頃には雨もあがり、晴れ間が見えてきたのでちょっと一安心。ちなみにこちらの世外桃源というのは少数民族のテーマパーク、だそうです。桂林は少数民族自治区なのであちらこちらで少数民族の諸々に触れられるんですが、ここは結構な広さでかなりの規模でした。



 で、なぜかここでも昨日のいかだ乗り場で頂いた少数民族の赤いくす玉(正式名称不明)を頂いてしまいました。とりあえずお土産とかオマケに最適みたいですねこれ。姉妹で2個ずつで計4個なためとりあえずカバンに詰め込んでおきました。日本で配るかな……(もらってもたぶんいらないけど)。



 テーマパークというだけあって、それぞれの少数民族の文化や暮らしなどを紹介するかたちになっております。正直何族がどれとかは全然覚えられなかったんですけど、音楽の生演奏があったり、写真や映像やパネルの展示があったりしました。お客さんが少ない(そりゃまあ洪水だしね)ので、全体的に暇そうというかまあゆるーい雰囲気でしたよー。



 このテーマパークは自然の湖のそばに作られているので、遊覧船みたいなのに乗ることもできます!(昨日のいかだからはレベルアップ。エンジンつき!)ただまあ増水しているので本来なら自然の洞窟探検とかも出来たらしいんですけどしょうがないのでぐるっと一周。その途中でこれまたナントカ族の伝統のダンスを見せていただきました。私達が近づくまで談笑してたり寝てたりした人たちがいきなり起き上がって太鼓をドンドコ叩きながら東南アジアテイストなダンスを披露するという様がとてもシュールで楽しかったです!(褒めてますよこれでも)



 でも確かに他民族というのは納得いきましたねー。ここまで南にさがってくると文化的にもほぼ中華というよりはベトナムとかラオスとかそんなイメージに近いし、きっと山の方へ行けばもっと山文化にあった民族がいるんだろうし、当たり前だけど、当たり前だよなぁとしみじみ思ったのでした。民族という言葉の正確な意味というのは日本人の私にはとらえきれないんですが、ここも難しい話だなと思います。ていうか根が深いっすよねたぶん。



 それぞれの民族衣装を着た人たちがいろいろと紹介してくれるのでそれに乗っかって一緒に写真をとったりさせてもらいました。歌も聞かせてもらったし、工芸品を作る様子を見学させてもらったり。トーテムポールとかヤグラとかも立ててあって、それぞれの民族の説明書きもあって。なんと英語と中国語だけでなく日本語の説明書きもありましたよ! 全体的に惜しい感じでしたけど(笑)たぶん日本にある案内板の説明とかもこうなんだろうなーと思ったのでした。



 ちなみに受付で私達がもらった赤いくす玉ですが、なぜか日本語案内板では「あじさい」と標記されておりました。たぶん中国語の漢字の意味をそのままとったら「あじさい」なのかもしれないけど、でもたぶん、それは日本では外来語としてとらえられるからカタカナで標記すればよかったと思うんだよね! ていっても多分そんなことは伝わらないんですけどね!(同じ漢字を使用していても意味についてはかなりの隔たりがあることは痛感)



 スタンプ押せるようなところがあったり、庭園つきの建物があったり、なかなか楽しかったですよ! 晴れてて景色も良かったですしねー。本当に景色だけは文句なしに素晴らしいといえますし、見る価値があると思いますよ。その他のいろいろなことを差し引いても。



 さて世外桃源を出ると陽朔での予定は以上で終了。桂林に向かって帰還します。車で1〜2時間だったと思うんですがやっぱり疲れていたのか寝てしまいましたね。



 桂林に戻ってきてまずは七星公園へ行きます。ここにはパンダがいるよ!としかガイドブックに書いておらずあまり気にしてなかったんですがまず入口にいってみてびっくり。なぜかデモ隊が入り口ですごい抗議運動をしてるではありませんか! きょとーんとしてる我々、そして肖さん。50人ぐらいはいたんじゃないですかね。年齢も性別もばらばらなところを見るとどうやら付近の住民の皆様、といった感じ。その人たちがみんなで垂れ幕もって「○×△!!」と一生懸命叫んでおられるわけですが。



 当然公安の皆様もきてまして、ただそんな全面衝突とかそこまでじゃなくて、一応何かあったときのために待機、といった雰囲気。ですがデモ隊のおばちゃんの一人がすごい剣幕で公安のお兄さんにまくし立てていたので、何かしら公安に対しても訴えが、ある、のか……?とかそんなレベルで。(だって中国語わからないもの!)



 あとで肖さんがそこらへんに居た人に聞いてくれてわかったことなんですが、やっぱりこのデモに参加してる人は付近の住民の皆様で、どうやら七星公園を拡大する工事?か何かの影響で日照権だか環境だかわかりませんがとにかく迷惑をこうむっているから今すぐやめろ!か補償しろ!かそんなような話だったそうです。(あいまい)



 七星公園自体は別に普通に営業していたので(だって今日は日曜日)お客さんたちは普通に出入りしてましたけども。私達も普通に入っちゃいましたけども。洪水、お葬式ときて住民運動にまで出会ってしまう自分のネタ収集能力の高さにびっくりですよね!!(笑うしかない)



 七星公園はとにかく広いです! 桂林最大の公園、だそうで、パンダももちろん有名ですが中には4つの峰がそびえる普陀山と3つの峯がそびえる月歯山があって、併せて7つの峰で北斗七星! というところから七星公園というのだそうな。一応写真スポット的なところで山をバックに写真をとっておきました。かなり広いので本気でまわったら一日かかると言われたので、私達はとりあえずパンダのところに向かいます。



 2頭のパンダがいるらしいんですが、パンダは中国でもやっぱり人気者。そういや私パンダ見たことあったっけ……?と記憶をめくってみたのですが、白浜のアドベンチャーワールドに行ったことがあるものの、幼少期すぎて記憶になく。東京の上野動物園も行ったことがないわけで、ちゃんとパンダを見るのは初めてだったわけです!



 まあどうせ寝てるんでしょ、と特に期待せず見たところ、1頭は予想通り奥でぐったりしていたわけですが(寝姿が完全にオッサン)、もう1頭はなんと! ちゃんと起きてしかも笹をむしゃむしゃやってるところでした!!



 うおおおおちゃんと動いてるじゃんパンダ!とテンションあがって眺めてたんですが、もしゃもしゃやったのちのそのそ歩き回って奥の寝床でごろりんと寝転がるまでの一部始終をきっちり見届けましたよ。確かに、やっぱり、パンダはかわいい!!!(納得)



 ということで今ジャイアントパンダについてwikiをひいてみたわけですが、これまたパンダ事情も大変なもので……いやはや。とりあえず生物学的に色々珍しいというのは納得しました。一応熊に近いと分類されてるらしいですが、熊とは違って草食だし、筒状の竹を握れる手をもっているというのは実はすごいこと!なんだそうです。またとりまく現状が厳しいことも、日本にいるパンダは全部レンタルで、パンダビジネスにまつわるあれこれまで知識を仕入れてしまいました。いやー勉強になりました。ちなみにパンダのしっぽは本当は黒じゃなくて白らしいですよ! よくぬいぐるみとかでは黒になってますけど、あれはお尻が汚れてることが多くて見間違えた結果だそうです。まあ確かに黒の方が配色バランスはいいけども。



 パンダを見学した後は付設の動物園へ。シカとサルとラクダとエミューがいましたよ! どういうチョイスなのかはまったくもって謎ですが、シカを眺めると懐かしい気持ちになるのは奈良県民の習性ですよね(笑) ラクダはめっちゃ近くまで寄れましたし、エミューエミューでなんかこう、アグレッシブでした。動物園が久しぶりだったのでこれも楽しかったです! あのケモノ集をかぐと動物がいるな!って感覚になりますね。 



 ぐるっとまわって入口まで戻ってきたので、さあ次のところへ行きますか!というところでデモ隊の存在を思い出します。しっかりとまだ入口に陣取っておられました。そしてちょうど私達が出て行こうとしたときです。



 ※ここからはイメージ(中国語わかんないので)※



 若いお兄さんが箱を持って走ってくる。迎えるデモ隊の皆様。お兄さん箱をあける。中に入っていたのは水のペットボトル。



 お兄さん「みんな、水だぞー! がんばれよー!」

 おばさま「水よ! 水がきたわ! がんばりましょう皆さん!」

 デモ隊 「うおおおおお!」

 おばさま「はいせーの!」

 デモ隊 「公園建設はんたーい!!!」

 おばさま「まだまだ!」

 デモ隊 「公園建設はんたーい!!!」



 ※イメージここまで※



 といったような一部始終が行われており、まったくもって失礼ながら大爆笑させていただきました。いや、もちろん住民の皆様は真剣だし、主張ももっともだとわかってるんですよ! 面白かったのは見事にその瞬間にきっちり遭遇してしまった自分のネタネタしさにです。なんでよりによって中国旅行で桂林の七星公園にきてデモ隊に差し入れの水がやってきてデモ隊が奮起する瞬間に出くわしてしまうのか!!! 本当にもう、酷いな自分!(爆笑)



 さてなんとか笑いも収まったので車に乗り込み、肖さんから次の場所の案内が。続いてはおみやげ物やさんにいく、とのことです。こちらも広州で慣れてますし、まあ覚悟はしてましたからいいですよとお答えしたのですが、肖さんから「別に買わなくてもいいですし、目の保養だと思っていってください」とのこと。ということで連れて行かれたのはなぜか本気の高級ショップ。まあどう考えても20代の若者が買うものじゃないよね、というレベルの石の彫り物やら木の彫り物やら壷やらが目白おし。そこはそこでショップのお姉さんが対応してくださったんですけど、まあ向こうもこっちも買う気ないよねーって感じで普通に博物館みたいに眺めてたんですが、後から考えたらこれやっぱり日本のお年寄り向けなんですよね!



 肖さんも最初にいってましたけど若い子が桂林に来るのって本当に珍しいらしく、壷コーナーが終わったあとに待ってたのはベッド・マクラコーナーでしたもん!(笑) なんでもゴムの産地でもあるらしくて(南国ですなぁ)低反発マクラだとかベッドだとかがおいてありました。いやーなんかこう、広州とは違って逆に安心感がありますわ。向こうの想定外ってあたりが(笑)



 本当にトイレ休憩レベルで土産物屋がすんでしまったので、これからどうします?と肖さんから。少しホテルに戻るまで時間がありますけど……となったら、お姉さま方からお茶屋さんに行きたいとの希望が。では行きましょうか、と観光客向けの大型お茶ショップへ。



 店員さんに案内されるがままになぜか個室に通され、そこに4人並んで座ります。目の前では店員さんが慣れた手つきでお茶をあれこれ入れてくれます。つまり買う前提の商談スペースみたいなところに放り込まれてしまったわけですが、今回はふたりだけじゃないし、広州の教訓がありますのでぐいぐい行きましたよ! あれも呑みたいこれも呑みたい、お茶菓子食べる、と一通り堪能しておきました。最後に絶対、で、何買うのよ、という話になるのでそこからはお姉さまがたの買い方を勉強させていただくことに。まとめて買うからもっと負けろ、という定番の交渉でそれなりの下げ幅。確かにそこまで頑張ることもないよねーと納得です。



 お茶っ葉はもう購入済なので買うつもりはなかったのですが、むしろ店員さんが使っていたポットの方が気になりまして。中国茶は結構汚いので(……)普通一煎目は捨てるんですよね。茶漉しなんかを使わずに中国茶専用茶器で淹れるのが普通なので、日本の急須とかで淹れようと思うと若干面倒なんですよ。でもって店員さんがつかってたのが中国茶専用ポット! 見た目は紅茶用のティーサーバーに似てるんですけどかなりの便利グッズです。茶よりもむしろそれが欲しいっす!と訴えたところ、確か100元ぐらいだったかな……? ただ手持ちが少なかったので75元ぐらいしか持っておらず、今持ってる金が75元しかないんだけど75元で売ってくれる?とごねて結局そのままお買い上げ。でも満足ですよ! これでお茶淹れられる!!



 わりとほくほくな状態でようやくホテルに帰還しました。ちなみに今日宿泊のホテルは初日に泊まったのと同じホテルなので勝手知ったるものです。部屋も広いし綺麗でよきかな! そう思うとやっぱり陽朔より桂林の方がだいぶ都会なんですよね。



 晩御飯のあとに雑技のショーを見に行くことになっているので(ちなみにこれは別料金)、先に夕食をみんなで食べましょう、ということでホテルにてディナー。初日もお会いした日本人の常駐スタッフさんがいたれりつくせりで面倒みてくださいましたよ。なぜかメニューは和食でしたけど!!!(苦笑)



 正直ここまできて別に和食を食べたいとはまったく思わないんですが(だってまだ3日しかいないのに)、まあお年寄りとかがメインのツアーだとしたらここらで慣れた味が懐かしくなってくるもんなんですかね。ただやっぱり食材自体は中国のものを使っているわけで、料理人さんが日本のホテルで働いていたことのある板前さんだったとしても、日本食ほどこう、素材の味に左右される料理もないというか……。グアムのホテルで残念な味噌汁を飲んだことを思い出してしまいました。いや、まあまずくはなかったんですけど。完食しましたけど。



 一応刺身も出たんですが、そこについていたワサビ(チューブ入り・中国製)が破壊力がすさまじくてびびりました。これ絶対ワサビではない何かで化学的にワサビ風味を形成してんだろ!という味なんですがこれがもう強烈。ちょびっとつけただけなのに涙がぼろぼろこぼれました。中国人たちはこれが日本のワサビだと信じているんだろうか……チューブでももうちょっとマシだよ……。



 あと肖さんから完成したハンコをいただきました。さすがナントカ協会会長!(たぶん)綺麗に私の名前を彫ってくださっておりました。ていうか角印に私の名前を旧字体でがっつり4文字彫られるとものすごい貫禄なんですけど(笑)手彫りなんで偽造しにくいだろうし、これはわりと使えるかもしれません。ていうか使いたいむしろ!



 食事は個室でまわりが静かだったので、はじめてゆっくりとお姉さま方とお話ができました。なんとお姉さまがたは中国旅行にそれぞれ単身来ていたときに偶然知り合った間柄で、年に1回中国旅行のときだけに再会するという関係だったそうです!!(びっくり!!)個人では数え切れないほど、二人になってからは5〜6回こられているのだとか。そりゃあベテランってもんですね。すごいなぁ。そのうちのおひとかたは学生時代は主にヨーロッパをめぐってらしたそうで、話を聞いてるだけで楽しかったです。やっぱり行きたいですよねぇいろんなところに……。



 さて晩飯が終わってすぐ車に乗り込み、今度は雑技のショーでございます。「夢幻漓江」という名前で、サーカス(雑技)とバレエの融合とかいうすごいショーなんだそうです。前回上海に行ったときに雑技ショーが見れなかったし(休館日とかそんなんだった)肖さんおすすめ、とのことだったので席を用意してもらったんですが、なぜかまさかの最前から2列目。完全VIP席での鑑賞となったのでした。



 300人ぐらい入れる(もしかしたらもっとかも? 一番前で暗かったんであまりわからず)かなり大規模な劇場で、そこがびっしり人で埋まっており人気が伺えます。ただ写真撮影禁止って言われたわりにフラッシュ光りまくってましたけどね。あと開演してからも基本話し声が止まらなかったですけどね。そこはまあ異文化ということで。



 ということでVIP席で堪能したわけですが内容についてはもういっそ 恐怖 でした(笑)



 違うんですよすごかったんです! 舞台装置も凝ってるし演出もなかなかだし音楽も素敵だし、雑技もそりゃもう本当に素晴らしくエンターテイメントで楽しかったんですよ! ただ何せ席が2列目で近すぎたんです。目の前にギリギリで雑技を繰り広げてくださるわけですから、筋肉隆々のお兄さんの顔が意外と童顔で肉体とのギャップに笑いをこらえたり(プルートボブみたい、っていう形容詞が分かる人だけ分かってください)、筋肉がプルプルしてるのが見えたり、イスがぐらぐらしてるのが見えたり、ギリギリの息遣いとかそんなんが全部感じ取れてしまうのでもうすごいよりも先に「こわいこわいこわいこわい落ちる落ちる! 倒れる! 死ぬ!!」みたいな恐怖が(笑)



だってお姉さんが天井からぶら下がったロープに首だけ引っ掛けて(つまり首吊り状態)ぐるんぐるん勢いつけてまわりだした時は本気で一瞬でもずれたら死にますやん!!と姉とふたりがたがた震えておりました。すごいんだよすごいんだけどさぁあああ!みたいなね。



 とにかく楽しかったです。いろんな意味でハラハラドキドキさせていただきました。見てるとそりゃあ中国は体操がすごいよと納得です。雑技、恐るべし!



 ということでいたく感動してホテルに帰還したわけですが、明日の出発が早朝なためさっさと荷物をまとめてしまわなければいけません。もともと小さいカバンできたのでお土産を詰めようと思うと何かを減らさなくては、ということでせっかくなので夜食にカップヌードルを食べることにしました。



 うん、やっぱり日本の飯はうまいね!(笑)



 今日はここまで。