くじらのまち。

 天気にめぐまれて何よりです。


 昨日の夜にあんなことがって、姉妹で腫れぼったい目をして出発するハメになったんですが、レンタカー屋に行ったらマーチの値段でノートを貸してくれるということになりちょっとテンションがあがりました(予定していたノートは帰って来れなかったらしい)。やっぱりマーチより断然ノートの方が好きです。広くて運転しやすい!



 そんなこんなでTSUTAYAで借りてきたマイケルジャクソンをBGMにドライブスタートです。今回の目的地は和歌山県太地町。大阪からぐるっと一泊二日で紀伊半島を一周してこようという旅なのです。



 ということで早速高速に乗り込み、いざ和歌山へ。連休だし高速は混んでるかなと覚悟してたんですが、思ったほどの渋滞もなくかなりスムーズに阪和道の終点、南紀田辺へ到着しました。時間があるのでせっかくだから白浜寄って行くか!ということでそのまま海辺をドライブ。かなりざっくりではありますけど円月島もみましたし白良浜千畳敷も三段壁もみましたよ! 前に白浜に来たのは幼稚園ぐらいのときで、アドベンチャーワールドでイルカのショーを見た記憶ぐらいしか残ってなかったので来れてよかったです。何よりやっぱり海を見るとテンションあがる!



 白浜を過ぎればあとはひたすら国道42号線の旅。海沿いの道が続くので気分は爽快です。何より天気がいいのがいいですねぇ。高速道路は全て私が運転してましたが、42号に入ってからは少し姉が運転したりもしました。私が運転しているときは姉が勝手に綺麗な景色なんかを発見するとぱしぱし写真を撮るんですが、逆になると私がまったく写真を撮らないので姉に怒られたりしてました。だから写真とるタイミングがわかんないんだって……。



 ちょうど昼すぎ頃には串本に到着。潮岬に到達する前にまずは腹ごしらえをしよう、ということになり事前に目をつけていた「水門まつり」へ。どうやらここは地元の水産試験場?が運営しているらしく、結構な人でにぎわっておりました。ちなみにいただいたのは「炙りトロ丼定食」1500円也。まあ不味いわけがないですよね!普通にね!!(満面の笑みでマグロを頬張りながら)あと壁にはってあったメニューに鯛餃子なんてものがあったのでそちらも注文してみました。さっぱりした餃子でおいしかったですよ。



 満腹になったところで再び車にのりこみ、潮岬より先にまずは紀伊大島に向かうことにしました。実はここがあの(といっても今どの程度知名度があるかわかりませんが)100年以上前にトルコの軍艦が遭難した場所なのです。このあたりのエピソードは私もネットで見たぐらいで詳細については知らなかったんですが、「エルトゥールル号遭難事件」でwiki兄さんに聞くとさらっと答えてくれます。その当時遭難したトルコ軍艦の負傷した乗組員達を、大島の人たちが必死で救出し、自分達の食べるものや着るものを分け与えたという泣けるいい話。そして100年後のイラン・イラク戦争の時にトルコが日本人を助けてくれることに繋がるというからまた感動ものなのです。確かアンビリバボーか何かで紹介されたのかな? とにかくそのエピソードを聞いていたので是非立ち寄りたいと思ってまして。



 時間がなくてトルコ記念館までは入れなかったんですが、それでも岬の慰霊碑や灯台は見に行きましたよ。トルコ人のお店やおみやげ物やさんも少しあって、なかなか面白かったです。トルコアイスもいただきましたしね!(2口でギブアップしましたが)



 良かったね大島、といいつつ続いて本州最南端の地、潮岬へ。天気が良かったためツーリングの皆様や家族連れの皆様でにぎわっておりました。記念写真をとって、これまた展望台はスルーして(意外と入館料が高かった)次の目的地に向かいます。



 さらに42号線を西に向かい、到着したのは太地町。ここは捕鯨の町として知られております。というかシー・シェパードの関連で話題になったところ、という方がわかりやすいかもしれません。ちなみにシー・シェパードとは環境保護団体として捕鯨をやめさせようと活動している海賊集団、みたいな感じです。(いろいろ調べた結果の私の認識なので間違ってる可能性もありますが)。



 捕鯨に関しては調べれば調べるほど根が深い問題なので(普通に人種差別とか絡んできますよね☆)あれなんですが、我々は単純に鯨を口にする機会がないから鯨食べてみたい!という単純明快な動機ですからあんまり関係ありません。うきうき気分で向かいます。



 まず出迎えてくれた鯨の大きなモニュメントで記念撮影し、とりあえずくじらの浜公園へ。捕鯨船がそのまま展示されてたり、くじらの博物館があったりします。本当はくじらの博物館に行きたかったんですが既に閉館時間が迫っていたため明日にして、夕食の時間まで岬などを眺めてくることにしました。



 向かったのは吉備真備漂着地の碑がある燈明崎へ。吉備真備(きびのまきび)は偶然にも平城遷都1300年祭に併せてドラマ化するという人で、奈良時代遣唐使を務めた学者さんです(ちなみに大仏建立に関していろいろと関わっているそうな)。唐から帰ってくるときに船がここに漂着し、なんとその子孫の一部が太地に残って太地の人々の祖先となったといういわれまであるそうです。なかなかタイムリーなネタがきてちょっとテンションがあがります。



 燈明崎はその名の通り、日本で最初に灯台が設けられたところでもあり(江戸時代の話なのでもちろん電気ではなく火。巨大カンテラみたいなもんです)、捕鯨のための見張り小屋や狼煙台の後もあったりします。



 意外と歴史的な場所もあったりしてほくほくしながら、平見台園地へ。継子投という岬からは綺麗な夕日が見れました。ちなみにこちらの継子投、こちらもその名の通り継母が赤ん坊を投げ落としたという伝説があるとかないとか。やっぱり地名っていうのはそれだけで歴史を感じられるものですねぇ。



 ぐるっとまわってくるといい時間になってきたので、「国民宿舎 白鯨」へ。お宿は別なんですが、ここでお風呂と夕食をいただくのです。ちなみに夕食は予約のみだったので前日に鯨のフルコースを依頼しておきました。するとお風呂はタダで入っていいですよ(本来は200円)といわれたので食事前にひとっぷろ浴びることにしました。露天風呂はないのですが、大浴場からは海が見えるし、ちゃんと温泉だし、かなり気分よくまったりできました。一日運転してましたからね! 手足を伸ばしてリラックスタイムです。



 夕食の鯨のフルコースはその名の通り、様々な鯨料理がいただけます。ハリハリ鍋、竜田揚げ、ごま和え、お刺身、カルパッチョ、ベーコン、酢味噌和え、内臓のポン酢和え、甘辛煮、皮とひじきの煮物、など。鯨をちゃんと食べるのはほぼ初めてなので、かなりわくわくしながらいただきました。



 とりあえず内臓のポン酢和えがダントツうまかったです。まあ完全に酒のアテですけども(笑) 車運転してなかったら芋焼酎泡盛を所望したところですが(ビールでもいいよ!)そこは我慢して白ご飯でうまうま。姉は生臭くてあんまり好きじゃなかったみたいですが私はうまかったですねー。とりあえずモツはいいっすよね、モツは!(内臓大好き)



 あとうまい!と思ったのはカルパッチョと刺身、皮の酢味噌和えですかね。刺身やカルパッチョはそのまま馬刺しに似てるな、という感じでした。あっさりしてるので食べやすいです。皮の酢味噌和えは食感がコリコリしてておいしくいただけました。



 もちろんその他の料理も基本的にはおいしくいただいたんですが(ハリハリ鍋のダシと水菜がめっちゃうまかった)、鯨なので、「舌の上でとろけそう」だとか「あふれる肉汁がたまらない」とかそんな表現はでてこないわけで。本当に戦後の庶民の食卓を支えていたんだろうな、という懐かしい感じの味でした。ひじきの煮物とかすごいそんな感じ(笑)きっと祖母とか両親とかがこれを食べると、感慨深いものがあるんじゃないかと思います。



 単純に味だけを言うならやっぱり鯨は魚ではなく哺乳類の肉という感じで、そして脂身は少なくて結構パサパサしてるのかな、という感じです。でもやっぱりおいしいし、おいしいもんは食べればいいじゃない、という単純明快な発想でいきたいと思います。だって日本はマジで鯨を余すところなく端から端まで利用してるんだぜ! 油と骨だけとってあとは捨ててたところにとやかく言われたくないやい!(苦笑)



 満腹で体もぽかぽかになったところで本日のお宿へ。太地町駅からほど近いところにある小さなカフェなんですが、なんと2階が宿泊施設になっているという本当にこじんまりしたお宿です。ちなみに「小さな宿Nieche」。民宿なのでトイレもお風呂も共同ですし、お部屋も本当に寝るだけの部屋ですが、清潔だし心遣いが行き届いていてゆっくりできるところでした。何より窓から見上げた星空がもう素晴らしいのなんのって!



 大阪が都会なのはもちろんですが、奈良の実家もそれなりに市街地のあかりがあるのでやっぱり空が明るいんですよね。でも太地町の空は都市から離れているせいか本当に真っ暗で。月も早い時間に沈んでしまっているので漆黒の空を見上げていればいるほどどんどん星が増えていくんです。部屋の明かりを消して、姉と二人で夜空を見ながら堪能していました。天気に恵まれたというのもありますが、本当に素敵な星空で楽しませてもらいました。だいぶ太地町ポイントがあがってましたけどさらにポイントが加算されましたね。いいところ!



 今日はここまで。