惑わされる処。

 天命反転してきたよ!


 本日から岐阜旅行!ということで朝からいそいそと荷物をつめてレンタカー屋に向かいます。8時から予約していたので7時45分ぐらいに行ったらまだ開店しておらず、仕方がないので店の前でぼんやり待っておりました。すると出社してきた店員さんとバッタリ。すぐ開けますね〜というのに早く来すぎてすいませんと謝ってしまいました。どんだけフライングなんだよって話ですよね。



 で、今回はノートを予約していたわけですが、なんと前日にレンタカー屋から電話がかかってきまして。



 店「ノートご予約されてましたよね?」

 私「そうですけど」

 店「大変申し訳ないのですが予定していたノートにご乗車のお客様が事故に逢われまして恐れ入りますがノートの値段でティーダをご用意させていただきますが、よろしいですか?」



 まさかのティーダ



 前回和歌山旅行のときにここで車借りたときはマーチを予約してたらマーチの人が時間内に帰ってこれなくてノートになったし、ノート頼んだら事故ってティーダになるし、次ティーダ頼んだらシルフィになるんじゃないかと思わず期待したくなります。なんだこのレベルアップ!(笑)



 ということでティーダに乗り込みいざスタート。排気量は変わらないはずなんですがやっぱりどっしりしてて走りは快適。しかも今回はいつもの鬼門、美原JCTへの入り方をかえたために一発で迷うことなく高速に乗れて思わずガッツポーズです。いや当たり前のことなんですけど本当に美原は何回乗ってもよくわからないんですって!



 ガラガラの南阪奈をぶっとばし、1時間でYちゃんのおうちへ。Yちゃんを乗せていざ向かうは岐阜、養老を目指します。



 とりあえずセブンで腹ごしらえをしてから169号を北上。それなりにスムーズに奈良につき、京奈和に入ってからはさらにスピードアップ。京滋バイパスから名神高速を突き進み、一気に関ヶ原まで。関ヶ原から養老に向かいます。



 養老につくとちょうど時刻は12時ごろ。かなりぶっとばしたのでおなかも空いてきております。田舎道を走っていると目に付くのは『養老ミート』の看板。なんだ養老ってお肉が有名だったのか!といまさらなことに気づき、焼肉屋がちらほら立ち並ぶ中、その件の養老ミート本店を発見。車がたくさんとまっていて、かつ隣にはお食事どころもある感じだったのでそのままゴー。「和処 司」というお店です。



 せっかくだから飛騨牛をいくか?と思ったんですが、よく考えたら下呂温泉に一泊する時点で絶対晩飯に牛肉出るよね!ということになりまして。そのままふたりでトンカツ食いたい!ということでトンカツ定食をいただくことにしました。でも調べてみたら豚もブランドあるんですね。養老山麓豚というブランド豚があるそうです。(食べたトンカツがその豚かどうかはわかりませんでしたが)



 まあトンカツはうまかったですよ! ご飯おかわり自由という言葉に気がつけば3杯たいらげ(違うんです1杯がちょびっとだったんです!)満足満足、と食後のコーヒーをまったり飲みながらぐだぐだしゃべっていたら、気がつけば13時半。少々のんびりしすぎた、と、あわてて本日の目的地へと向かいます。



 本日の目的地その1は、養老公園内にある『養老天命反転地』。これは現代アートのテーマパーク、という感じのところです。まあ初めて名前を聞いたYちゃんは「なんか宗教施設みたい」とざっくりとごもっともな感想をくれましたが(笑)、一応有名な美術家さんが天命(=運命、と解釈)を反転させるという意味合いで、常識や通常の概念を覆すための、一旦リセットさせるためのテーマパーク、というところだったりするのです。



 実を言うとこれも偏った話ですが嵐のファンクラブ会報でリーダーが遊びに行ってまして。それがあまりにも面白そうだったので今回岐阜に行くにあたり行きたい!と私が駄々をこねたということです(苦笑)



 まず天命反転地の入り口に行ってみて思ったんですが、かなり広い! 私が想像していたよりもずっと規模が大きくて、まさにテーマパークといった感じです。それから想像してたよりも人が多かったです。結構マイナーなパラダイス的なところなのかなと思ってたんですが、そんなこともなくて家族連れとかカップルとか若者グループ、おじいちゃんおばあちゃんに至るまでいろんな人たちが来ていました。



 早速チケットを買って中にはいり、順番に回っていったんですが、かなり面白いですよここ!! とにかくもうありとあらゆる場所が水平じゃないんです。傾いてたりでこぼこだったり、そもそもパビリオンをまわっていくのに配置されている敷地がまずすり鉢状になってますからね! 是非HPなんかで確認していただきたいんですが、すごい規模のでかいビックリハウスみたいなもんです。そして遊園地なんかのビックリハウスよりも断然シビア。リアルに転んだり滑ったりしてましたからね!(ちなみに私はブーツで参戦しましたが普通はスニーカーとかじゃないとだめですよ!)



 それぞれパビリオンには名前と使用方法(これが結構おもしろい)が書いてあるんですが、私が気に入ったのは『地霊』と『切り閉じの間』です。これも体感していただかないと絶対わからないんですが『地霊』は三半規管弱い人はイッパツで酔います。要は下が水平になってない薄暗い迷路、なんですが、そうなるともう何が何やら。人間の平衡感覚なんて視覚情報がなくなるとほんとうに簡単に崩れるんだなということがよくわかります。



 そして『切り閉じの間』はもっとすごかったです。『地霊』はまだ薄明かりがありましたけどこっちは真っ暗闇。第一歩目を踏み出した瞬間に床が斜めになっていて思いっきりスッ転びましたもん! あんまりにもびっくりしたのでその瞬間大爆笑しましたからね。人間極限まで行くと笑いしかおこりません。



 真っ暗闇の中を少し手探り足探りで進んでみたんですが、その恐怖たるや! 一歩目で転んだのがきいてるせいかかなり怖いです。本気で真っ暗闇になると手と足の感覚しか頼りにならないわけで。本当はおくまで進めば『地霊』と同じようにゴールがあったらしいのですが、途中で断念して引き返してしまいました。いや、それにしてもあれはすごいです。真っ暗闇で平衡感覚がなくなったらほんとうにわけがわからなくなります。でもいつかまた挑戦してみたいですねー。好奇心も刺激されます!



 他にもぐるっと一周できると思っていた道が実は途中で行き止まりだったり、すりばちの斜面で滑ったり、水平の基準を計るためにお茶の入ったペットボトルをたててみたり、とにかくいろいろ堪能しましたよ。好き嫌いは分かれるかもしれませんが私はかなり気に入りました! 基本的に理屈っぽい人間なので理屈じゃない感覚を刺激してもらえるようなところが好きです。よくわかんないけど面白いなこれ!っていう感覚になれるのが新鮮というか。



 たっぷり1時間堪能した後は養老の滝を見に行こう!ということで移動。誘導されるがままに養老公園の駐車場に入れたんですが、そこから滝がめちゃめちゃ遠いのなんのって!! こんなとこまで惑わせるのか養老! と思って坂をひたすら上ること20分。「滝への近道」と書かれた色あせた看板にひかれてふらふらと横道に入るとそこにはリフト乗り場が。すでに天命を反転してぐったりしていた我々はもういいよね……ということでリフトへ。



 このリフト乗り場がまた曲者。乗り場に行くにも急な坂道と階段が続いており、結局登らすんかい!と悪態をつきつつ乗り場へ。乗り場に行くとなぜか大音量で流れているオペラ。人気がなくおばちゃんが座ってらっしゃるのみでだいぶ怖かったんですがとりあえず往復券購入。ていうかなんでオペラなの!?とドキドキしながらリフトにのって上にあがっていったんですが、景色だけは文句なしに素晴らしくてほっとしました(笑)



 当たり前ですけど濃尾平野ってめちゃめちゃ広いですね! 盆地生まれの盆地育ちなもので、本当の平野というものを見ることが珍しく、眺めたときの広さにびっくりしました。平野って本当に広いんだな!ということを再確認です。天気が良かったので本当に遠くまで綺麗に見えて感動しました。オペラは怖かったけどのって正解でしたよ、リフト!



 まあリフトの降り口から実際の滝までもずいぶん距離あったんですけどね(苦笑)でも滝もなかなか風情があってよかったです。そんなに落差も水量もなかったですけど、水は綺麗だし山深くて静かだし、雰囲気は素敵でした。



 帰りは同じ道のりをひたすら歩いて帰ってきたわけですが、車に戻ったときはすでに16時。宿には16時チェックインといっていたので電話で遅れる旨を伝え、いざ本日の宿泊地、下呂温泉へ向かいます。



 当たり前ですけど養老から下呂温泉、めちゃめちゃ離れてます。高速使ってもまあ3時間はかかるわけです。ですが19時までに宿につかないと食事の部屋だしができないわけです。これはもうぶっとばすしかない! ということで一気に大垣から中津川までぶっとばしました。いやーティーダちゃんで本当に良かった!



 結局宿についたのは18時半。そして今回の目的第二段は、このお宿。昭和6年創業という『湯之島館』に泊まること!! 実は下呂温泉でどこに泊まるかというのをネットで検索してたときに、このお宿情報を見つけまして。予算からするとだいぶ高めだったんですが、今回は楽天ポイントで値引きができるということで思い切って予約したのです。



 ここがまあ天命反転地とはまた別の意味で一大テーマパークだったわけですよ……!



 最初に案内を見たときは『昭和初期の建物に泊まれる』というのと『料理がおいしそう』という2点のみで選んだので、ここがそんなに有名なところだとは全然知らなかったわけです。まず玄関から歴史ある温泉宿、という風体だったのですが(そのときはすでに暗くて全貌は見えなかった)部屋まで仲居さんがご案内してくださり、お茶を入れてくださり、ご説明をしてくださり、それでは後ほど係りのものが、といって出て行かれた後にYちゃんとふたりで部屋にあったパンフレットを見て初めて全貌を知ったというか。



 とりあえず歴史が古いのはわかってましたが、まさか天皇が泊まった(しかも昭和天皇今上天皇と2回)とは知らなかったし、私たちが泊まる部屋は本館ですが、そこから洋館がつながっててさらに別館があって新しい新館も建ってるし特別室とか離れとか茶室とか足湯とか庭とかとにかくめっちゃめちゃ広いんです! そして古い建物につなげる様にどんどん立ててるからもう完全に迷路ですよ! なんてたってお宿内を回るスタンプラリーがあるぐらいですからね。どんだけだっつー話で。そんなこんなでパンフの地図見ながらなんじゃこりゃ!と騒いでると早速お料理が。



 とりあえず料理はめっちゃうまかったです(真顔)。そんなに懐石とか詳しくないし、おいしいお店に行ってるわけでもないですけど、とりあえず最初に飲んだお吸い物がうまければ外れはないですよね。とにかく全体的にいえるのはダシがめちゃめちゃうまかったということ。それからメニューの基本が年齢高めを想定してるのか、どれもあっさり目で魚介寄りだったことが嬉しかったです。もちろん飛騨牛のすき焼きもありましたけど、それよりも感動したのはぶりしゃぶ。山の中でも魚がうまいっていうのはやっぱり良いものです!(満面の笑みで)量もたっぷりだったし、仲居さんに言えばすぐに全出ししてくれたし、食後にはデザートもついてたし、満腹です! 料理がうまいってやっぱり大切!とYちゃんとふたりでひたすら語り合っていたのでした。



 途中で社長さんも挨拶にきてくださって(名刺いただきました)、仲居さんもいろいろ気を遣って減りが早いポットのお水足してくださったりとか(茶を飲みまくる我々は感動で打ち震えてました)、床の間のお花がちゃんと生花が活けてあるとか(なかなかないですよ!)、お部屋は古くてもきちんとトイレはちゃんと後からリフォームしてつけてあるとか、とりあえず気遣いが隅々にまで行き届いてるな、というのが実感できました。



 本気で出されたもん全部食べて満腹だったので、腹ごなしに言われたスタンプラリーをしようと外に探検にでかけたわけですが、これまた驚きの連続で。もういちいち書き出すのも大変なんですが、とりあえず洋館がそのまんま大正モダンなわけですよ!(昭和に作られてますけども)



 もうね、これとりあえずHPの写真見ていただきたいんですけどダンスホールとかあるんですよ! 超レトロな! 今はクラブムーンライトってまたそのネーミング!みたいな素敵なところになってるんですが、本当にプチ鹿鳴館って感じで素敵なのです。音楽室にはピアノがあるし、玉撞き場には四つ球のビリヤード台があるし(何もかもがそのまま)、サンルームとか会議室とかでれもこれもレトロでモダンで素敵なわけですよ。だいたい洋館の窓からして歴史を感じる上げ下げ窓! ステンドグラスがはまってたり、窓にも種類がいろいろあったり、とにかくまー古いのが好きならそれだけでわくわく、な感じな建物でした。



 展望台とか宴会場とか茶室とか博物館(しまってたけど)とかもあって、さらには天皇が泊まった特別室とか、露天風呂付きのお部屋とかいろいろあって迷ったり行ったり来たりしながら館内をめぐりました。要所要所にきちんとお花が活けてあるのがまたいいですよね。スタッフの皆さんがすれ違うたびに挨拶してくださるのとか気分がいいし、さすがだなぁ、と思いながらうろうろしていたのでした。



 暗くて回りきれないところは明日にして、ようやくお風呂へ。これがまた大浴場が広い! 広い大浴場はよくありますが、さらにいうと露天風呂もだいぶ広い!! そして何より露天風呂に屋根がない! ちょうど晴れていたので満天の星空が拝めたのが何より嬉しかったですね。身を乗り出さなくても空が見えるわけですよ。そして湯之島館は山の上に建っているので街の明かりも気にならないし、見える景色が全部山で囲まれていてまさに露天風呂、という風情なのがまた嬉しいわけです。



 遅かったのと日曜宿泊でそもそも人が少なかったのもあって、露天風呂は貸切状態で楽しませていただきました。いやー良いお湯だった! 本当に!



 ぽかぽかになって部屋に戻ればふっかふかのお布団がひいてあるわけですが、なんとマットレス付き! 普通の旅館で固い布団で寝かされることはまずないですが、さらに上乗せでマットレスがひいてあったのは初体験でした。しかも毛布とかないのに掛け布団の軽くてあったかいこと!(羽毛すげぇ、って実感しました)



 ちなみにアメニティも充実で色浴衣選ばせてもらえるし(ただ帯は普通の温泉浴衣帯なんで今度から色浴衣は持参しようと心に誓いました)、バスタオルは大浴場に備え付けのがついてるのに用意してあってしかもお持ち帰り自由だし(もちろんいただいて帰りました)(あ、そういやお風呂は朝10時まで入り放題)(家族風呂もタダ)(なんかとりあえずいろいろすごい)、布団に寝転がって水差しの水(しかもサーモスで氷が溶けない!)を飲んでてあー贅沢ってこういうことかーとほわほわしていたのでした。



 本当に大満足のお宿でしたよ。昭和初期にここにリゾートを作ろうとしていたんだな、ということがよくわかりました。いやはや、やはり良いお宿は良いものです!



 で、寝転がって何をしてたかといいますとそこからYちゃん持参の世界史の教科書と資料集でもってひたすらヨーロッパの歴史の勉強をしていました。エリザベートを見て以来、当時のヨーロッパ情勢がよくわからない!とYちゃんに訴えたところふたりで一緒に復習することになりまして。とにかく教科書を読んでみたんですがまぁわからないですね、ヨーロッパ! 特に一番わかりにくかったのがドイツ。フランスやスペインは早めに領土としては成立してるので(国内でごたごたしますけど)わかるんですけど、ドイツは領土が二転三転、神聖ローマ帝国とか都市同盟なの、なんなの! って感じですしオーストリアとかハンガリーとかバルカン半島とかもうえらいことになってましたもん。時代ごとに色が違うし!みたいな。



 どうにもこうにも日本人なので、民族だとか領地だとかそういうのがピンとこないんですよね。資料集を読んでみてそういえばドイツっていう国が今の領土で成立したのってここ20年ぐらいの話じゃないか!っていうことにいまさらながら気づきました。



 結局力尽きて全貌をまったく把握できないまま寝ちゃったんですけど、歴史ある旅館で歴史の勉強をするのもまたオツなものでしたよ。



 レンタカー屋でまず惑わされ、養老で天命反転して惑わされ、湯之島館でも惑わされ、ヨーロッパの歴史にまで惑わされた一日がようやく終わったのでした。でも惑わされるのもまた楽し!



 今日はここまで。