炉開き。

炉も開けば特別拝観も開きます。


昨夜寝たのが普通に2時とかだったので8時半にきっちり睡眠薬の目覚めとともに起きました。ある意味それで起きた場合でも普通に活動できるんでいっそ起きてしまった方が楽なのかなと思ったりもするんですけどね。台所にいったら誰かの土産らしきカスタード入りドーナツがあったのでそれをひとつ勝手に朝食にいただき、9時からいろいろと準備。今日はお茶のあとそのまま興福寺の特別拝観に行くつもりなので荷物も揃えます。

着物もお出かけということで気合入れて着たんですがいい感じに行けたんじゃないかと思います! 羽織もオレンジで結構派手なんですが、若いんだからこれぐらい着ないとね! バッグも姉がたまたまカンボジアで買ってきたのがいい感じに羽織の色にマッチしたので拝借し、うきうき気分でお茶に出かけたのは良かったんですが、気が付いたらYちゃんに渡すつもりでまとめてたもろもろを家に忘れるという失態を犯してしまいましたorz まあお茶終わったらいったん取りに帰るわ、ということでまずはお茶へ。

今月から炉、ということで炉の基本の和物で大海の茶入れを使ったお点前。茶入れの扱いと仕覆の扱いがちょっと違うのと、棚が玄々斎お好みの杉棚というお点前でした。先生は桐棚って言ってましたけど調べたらたぶん玄々斎好みでかつては玄々棚とも呼ばれていたそうな。水差しを取り扱うときにそっと棚をスライドさせるのが面白いのと、飾れるところがいっぱい作ってあるのでお薄にいたっては全部飾って建水だけ持って帰るというすんごい省略したお点前とかやったりしてました。でもこうやっていろいろ仕組みが分かってくると面白いですね!そういう意味ではお茶やってると本当にいろんなものが詰まってるんだなーと納得します。あとはいい先生というか、本当にユルくやらせてもらってるので(笑)本当に楽しいだけのお稽古なのがいいですね。

なんだかんだでお濃茶と薄茶たてて、炉開きってことでおぜんざいまでいただいてたらすっかり13時。ぜんざいでお腹がいっぱいになったのでお昼をすっとばしていったん家に帰ってYちゃんの忘れ物をとってから、そのまま興福寺へGOです。今ちょうど秋の特別拝観で仮金堂があいているのと、Yちゃんが超絶お勧めする北円堂も一緒に開けてるらしい!ってので秋らしく着物でおでかけ……ってことだったんですが、さすが秋の土日! しかも奈良は今まさに正倉院展中! 天理のIC前から渋滞しだしていたので嫌な予感はしていたんですが、まあ混んでましたね!! でもなんとなく奈良が込み合って人がいっぱいだと嬉しくなってしまう奈良県民です。だって渋滞の車も県外ナンバーばっかりなんだもの! これはどうも我々だけらしいのですが、運転中にナンバプレート見てそれが結構遠くの都道府県だったりすると思わず「奈良へようこそ!」っていう気分になっちゃいます。奈良はすごいだろういいだろう!という自慢ですね、ええ。

あとこれはもう奈良県あるあるなんですけど、「左折可」な交差点って意外と多いんですよ。あの一通と配色が逆なだけの標識ですね。他府県で見かけたことないので本当に純粋に奈良が多いだけだと思うんですけど、左折可の標識があればたとえ直進方向の信号が赤でも進んでいいわけです。ところが他府県ナンバーの方は気づかないわけで。駐車場探してぐるぐるしてる間に2台ぐらい他府県ナンバーの車を促してあげました。たぶん出会うの教習以来でしょうねぇ〜!(笑)まあ私たちが路面電車との交通ルールを知らないの似たようなもんだと思います。路面電車は本当にどきどきしますからね。

でまあ結局公園近くの駐車場はあきらめて(というか異常なほど県庁東の交差点が詰まってたんだけどあれはなんだったんだろう?)近鉄奈良駅を超えた先にあるコインパーキングにとめて、いざ興福寺へ。結構な時間がかかってしまったのでまずは仮金堂に向かいます。ご本尊の釈迦如来は五代目の江戸時代作のものだそうですが、その脇侍の薬王・薬上菩薩隆立像というのははじめてでした! 通常釈迦如来の脇侍は文殊菩薩普賢菩薩が普通ですが、法隆寺興福寺は薬王・薬上菩薩なのだそうです。像自体は鎌倉時代に再建されたものですが、その分より表現豊かに、そしてなかなか肉感あふれるというか、結構腰が括れたなかなかのプロポーションなお姿でした。ちなみに兄弟なんだそうです。いろいろ設定があるものですなぁ。

小さな大黒天さんと吉祥天さんもいらっしゃいましたがこちらはなかなかこじんまりしたお姿でした。どちらも鎌倉時代の作品ですね。そして大好きな四天王像もなかなか無骨な感じが良かったのですが、邪鬼込みで一番気に入ったのは持国天さんです!この邪鬼がまさにえげつない踏まれ方をしておりまして、表情がとっても豊かだったのですよ! ムンクの叫びにも似たような形で顔を思いっきり踏みつけられてますからね。彼はプロですよ、プロ! これでもかと踏みつけられ方というものを体現されておられました!

続いて毎年正倉院展の時期に特別公開されるという北円堂へ。ここがYちゃんが東大寺戒壇院四天王に次ぐ素晴らしい像がいらっしゃるというのですが、拝見してわかりました。この無著(むちゃく)菩薩像ですね……! 実はこの北円堂、1つを除いてすべてが国宝という素晴らしいお堂なのですが、これまたマイナーというか知られていないというか(実際私もYちゃんに教えてもらうまで知らなったわけですけど)いや本当にすてきなお堂……! 弥勒如来・無著菩薩・世親菩薩がすべて運慶および慶派の作品なのです! 如来様は安定の慶派作というか、もちろん素敵なんですけども、やはり仏様であって人ではないお姿なんですが、無著菩薩・世親菩薩像は実在したこちらも兄弟の学僧を彫ったものであり、まさに生きた人を彫った、仏ではない、だが限りなく仏に近い像、なわけです。これが本当に素晴らしい……! 角度によって表情が変わるのはもちろん、北円堂はぐるりと一周できるのでその後ろ姿を拝見できるのがまた……!

もう後ろ姿とかそっとお声をおかけしたいほどに生気を感じられる像ですよ。パンフレットに肖像彫刻の中の最高傑作と激賞されってかいてますけど本当にそう! 数々の彫刻見てきましたし、それこそ偉いお坊さんをかたどった人物彫刻だってたくさんみましたがこれほどまでに写実的でありながら仏性を感じる像というのはすごいです。ていうかもう慶派マジパネェとしかいいようがないですわ……!(運慶監修で弟子二人の作だとか)確かにこれは写真だけではわからない感覚ですね。じっ、とこちらを見られるのですが、何かこう、見透かされるというか、心の中までのぞかれるというか、この人には隠しても無駄だ、っていう感覚を味わいました。いやー確かに肖像彫刻としては随一だと思います。

あと実はこちらも国宝な平安時代の四天王がいらっしゃるのですが、時代古いこともあってなかなかコミカルで素敵なんですよ!ポージングがかわいくって!皆さん持っている武器類が喪失してしまっているので余計にそうかもしれないんですが、まるで盆踊り踊ってるような感じに見えてしまってほほえましかったり。あとこれも360度見れることの素晴らしさだと思うんですけど、広目天のお尻がすんごい素敵だったのです……! ポージングも相まってかこうぷりっと感がですね!(ここまでくるといっそ変態である)もちろんお背中も良かったんですけども。やはり仏像は360度みせていただくとその方向で印象が変わるので是非そのように見せていただきたいものだと思います。

最後は国宝館ですが人でいっぱいだったのと(喜ばしいことです!)何回か来ているのでもうハイライトだけでいいよねってことで大好きな木造金剛力士立像(超絶イケメン)と天燈鬼&龍燈鬼(超絶カワイイ)を堪能し、みんなのアイドル阿修羅たん(さすがのセンター)を眺めて颯爽と後にしたのでした。毎回ミュージアムショップで何かを買ってしまうんですけど、今回は天燈鬼&龍燈鬼リバーシブルA5クリアファイルを発見したので即購入。ついでに仮金堂の特別拝観に合わせてショップが出ていたので金剛力士と邪鬼ズのA4クリアファイルをまた買ってしまいました……! だってこのクリアファイル、裏に後ろ姿が掲載されているんですもの……!!!(金剛力士の背中めっさかっこいいですよマジで! 本当に一回360度公開してくれないかなぁ……)

でも興福寺の歴史的には明治の廃仏毀釈で一回本当に荒廃してしまっているので、今こうやって隆盛を取り戻しつつあるのは喜ばしいことだと思うのですよ! 興福寺といえば五重塔と東金堂、それと国宝館、っていうだけのイメージだったんですが、歴史を知るうちにいかに大和の寺社勢力としてすごかったかっていうのがわかり、それがまた明治の神仏分離でいかなる打撃をこうむったかって話で泣けてくるわけです。五重塔が売りにだされたとか、燃やされかけたとか……! それがいうたらほんの100何年前の話ですからね。なので東大寺ももちろん好きなのですが、興福寺もがんばって!という気分になります。寄進するほどお金がないのでこうやってクリアファイルとか買って帰るぐらいしかできませんけどね。でもみんなのアイドル阿修羅たんが本当に稼いでくれてて、ファンクラブまで作って、がんがんやったったらいいと思うんですよ! 会いに行けるアイドルですから是非皆様には会いに来ていただきたいものです。たまに全国ツアーにはいきますけど、やっぱり奈良に来てもらわなきゃねぇ(なぜか上から目線)ちなみに北円堂のパンフに書いてあったんですが、日本の国宝彫刻のうち興福寺所有のものだけで14%を占めるんですって! ほらやっぱり来なきゃ!!

ということで精神的にも大変癒されたのでそのまま帰還しました。いやーやっぱり定期的に奈良はこないとだめだなぁ!(あと着物もいっぱいほめてもらいましたやった!)

帰ってきて晩御飯は豆乳鍋。食後に姉と今更ながらに陰陽師にはまったという話をしたら姉にも「今更!?」と爆笑され、その時代にいかに一世を風靡していたかを聞かされました。姉は高校生だったかもしれないけど私は中学生だったんだよ!! でもまあ、確かに高校時代に見てたとしてもストライクゾーンから外れてますもんね……今だからこそわかるよさってありますよね……。(高校時代は歴史に一切興味はなかった/野村萬斎さんの魅力に気づけたかも自信がもてない)

で姉と最近の動向についていろいろ話してたんですが、やはり黒子はおかしいよねという話になりました。みんなそう言うよね! あとルーカスフィルム買収の件に関し、エピ7に対してどう思うかっていう話をしたんですが姉は楽しみ派でした!(ちなみに私はやめとけ派)姉曰く、あんなに素晴らしい面白い作品は後世に伝えていくべきである、という観点においてだそうです。でももう黒メット(ベイダー卿のことを我々はこう呼びます)もヨーダ様も出せないのよ? そんなSWってSWなの!?とあつく議論を交わしておりました。

あと甥っ子の成長ぶりもはんぱなかったですね! だって上の子の今のブームはオセロとサッカーゲームエポック社製的な物理的なゲーム)とクラピカごっこですって! 鎖をじゃらじゃらさせて楽しんでいるようですが、ハンターハンターをみてクラピカに行くという趣向に叔母としては動揺を隠せませんよ……! そりゃクラピカ強いけどさ……! だってゴーバスターズでレッドにいかずにビートバスター(中の人はおっさんだよ!/強いけどさ)に行くってあたりがまた変わってるというかなんというか。

ちなみに下の子はイクラちゃんレベルにしゃべれるようになり、「ばぁば」とか「じぃじ」とか超可愛いのはいいんですけど、お気に入りの遊びがゴーカイブルーのお面(お古)をつけて輪ゴムでっぽう(ただし弾なし)で打ちまくるというのが……しかもお面をすちゃっとあげてニヤリと笑う風情がもうなんかヒーロー通り越していっそ悪役っぽいんですけど……! お面を上げ下げして銃撃しまくるのが今の下の子のブームなようです。すちゃっと着脱可能なのがいいらしいのです。この前大泣きして何が嫌なのかと思ったらお面のゴムの調子がよくなかったらしく顔にちゃんとフィットしたら泣き止んだらしいですからね。

甥っ子兄弟の今後の成長が、大いに楽しみで、あります……!(遠い目) まあ私も変わった幼子であった自覚はあるので何も言えませんけどね。だって小さいころからバナナとケーキが嫌いで、風邪をひいてはにぎり寿司やいか黄金をねだるという幼稚園児でしたから……(何も言えない)。

今日はここまで。