慶派について考える。

仏像をみるということ。


 本日は興福寺の特別拝観にいってまいりました! 例年1年に1日だけしか開かない南円堂が特別拝観であけてくれる(しかも北円堂とセット)というので喜び勇んでいってきたのですが、天気も落ち着いていて、ゆっくりと鑑賞することができました。

 実は特別拝観に行く前に事前にYちゃんにおすすめされたJR東海が東京の奈良まほろば館で主催している「奈良学ナイトレッスン」の資料を読んでいったのです。奈良博の学芸部長さんが解説しておられるんですが、「慶派」についてきちんと考えたのは初めてだったので読みながらううむなるほど、とうなってしまいました。一口に慶派といってもやはり康慶、運慶、快慶でそれぞれ考え方が違うし、また仏像を造るといっても、作品として作るのか、仏として作るのかでそれは違うわけです。彫刻としては素晴らしいけれども、お寺のお堂の安置してそれを人々が拝むということについて考えていくと、素晴らしい彫刻が素晴らしい仏像でイコールかというとまた違うというのに唸りました。これまでいろんな仏像を見てきたつもりですが、私が心惹かれる仏像というのはいったいどういう性質を持っているんだろう、ともう一度考えたくなりますね。

 で、いざ初の南円堂、だったわけですが、すっごく良かったです! ご本尊は不空羂索観音菩薩の坐像ですが、こちらがその康慶作。3メートルもあるかなり大きな像なんですが、腕が6本あるのに何の違和感もないという違和感(笑)表情もさることながら、その全体としてのバランスの良さにほれぼれしてしまいました。だって何の破綻もないし、何の違和感もないんですもの! その4隅に四天王がいるわけですが、こちらも一応慶派の作品?と言われてるみたいです(もともと今の南円堂においてある四天王像がどこにいたのかよくわからないらしい)。でもすっごく素敵な四天王でした! 鎌倉らしい生き生きとしたポージングに掘りの深い豊かな表情で素晴らしいのですが、ひとつだけ残念なのは私の愛すべき邪鬼を踏んづけていらっしゃらなかったということですよね……!(悲しい) 逆に踏んづけていない四天王を見たのはもしかしたら初めて?かもしれないのでこれはこれで新鮮なんですが、四天王が素晴らしいだけにどんな邪鬼の表現をなさったのか気になるところであります。四天王は本当に良かったんですよ! 超かっこよかったんですけどね!!

 北円堂は前回も行ったで安心安定の無着世親にもうため息しか出ない、という感じだったんですけどね。こちらは運慶作なんですが、いっそ恐ろしいほどのリアリズムの追及というか、玉眼の凄さというか、確かに「人」を造らせたら運慶の右に出る者はいないというのもうなずける気がします。でも運慶が造る「仏」はまた違ってくるのかな、というのもまた思いますね。運慶はいい意味でも悪い意味でも「天才」だったんじゃないかなーと思います。

 南円堂・北円堂ともにすっごくよかったんですが、新鮮だったのが一緒に行ったYちゃんが「お参り」をしたという感想を持っていたということ。今までどちらかというと「鑑賞」だったというYちゃんが仏像を見て「拝んだ」といっていた、そういえば私は今までどういうつもりで見ていたんだろうな、と我に返ったり。何せ小さいころから寺社仏閣には親しんでいて、あっちこっちお参りに行っていて、それこそ祖母の隣で仏壇にお経をあげていたのでそういう意味では「お参り」することに何の違和感もないんですよね。でも美術鑑賞も好きで、作品として仏像を見るというのも同時にやっていて、そういう意味では両方なのかなぁ、と思います。

 仏像だけを切りとってみた時にここのこれがいい!というのはいろいろあるんですが、たとえばお寺の雰囲気とか、そこの空気とか、そういうものも総合で考えてくると、作品としての価値以上のものがやっぱりいろいろあるなぁ、とも思うわけで。たとえばやっぱり法華堂で見た不空羂索や日光月光菩薩と、東大寺ミュージアムで見る日光月光菩薩は違うわけで。確かに近くで見れるし鑑賞としては素晴らしいんだけども、法華堂の中にところ狭しと並べられていて、そこに居た日光月光の良さというのものがやっぱりあるような気がします。

 私はたぶん仏像が見たいからお寺に行くのではなくて、やっぱりお寺が好きだからお寺に行っているような気がするんですよ。その場所にその仏像があるからこそ完成する世界があるというか、そういうのも含めて鑑賞したいし、また心を落ち着かせたいな、と思います。とか言いながらミーハーな部分も多々あるのでやっぱり近くで見たい!とかじっくり見たい!とか思うわけですけど(笑)

 その後はお昼ご飯に東向きのイタリアンに行ったんですが、こちらが閉店日ということで最後のランチをさせてもらいました。Yちゃんに連れられて何回か来たことがあるお店だったんですが、サラダバイキングが本当においしくて、アットホームな雰囲気の素敵なお店だったんですけどね! 奈良の商店街問題についてぜひとも今後一考して頂きたいです。自分のお気に入りのお店や場所が無くなっていくって残念ですよ……!

 でももちいどの商店街は逆に活気づいているようで、小さなインキュベーターみたいな場所がたくさんできているというので行ってきました。なんかこじゃれた雑貨屋さんが大量にできている……! 高校時代はこんなお店がなかったので大いにテンションがあがりました。たまたま入ったアクセサリーショップがドンピシャで、ネックレスのチャームにバンビちゃんとか、ヤモたんとか、まさにピンポイントで私のツボをついてくるアクセサリーがあって即購入(真顔)しかも指輪なんか普段しないのに、まさかのカエルリングがあってあまりに可愛くてそちらも購入しました。いいんだ、これで奈良の経済が活気づくならいくらでも私はお金を落とすよ……! いやでもこんなこと考える人いたんだね! 基本的に趣味趣向がマイノリティな人間なのでたまに同志に出会うとめっちゃテンションあがります(笑)

 ぶらぶらしたあとはお茶しようぜーということで、こちらは初めて入った三条通りの抹茶屋さん。すんごく落ち着いた雰囲気で、しかも本当に抹茶づくしのメニューで、リーズナブルな値段なのにちゃんとお抹茶選ばせてもらえるし、なんだったら自分で点てられるっていうのがいいですね! そして私は追い求めていたほろにが抹茶ラテと再会できて感動でした。砂糖などいらんのですよ! 良い抹茶に良いミルクがあればそれで抹茶ラテは成り立つのですよ!!(力説)

 普通に抹茶だけで飲むと苦味も少なく香り豊かでそれはそれでおいしんですが、ミルクを加えると逆に抹茶の苦味が強調されて正しく「ほろにが」な風味が広がってこれもまたおいしいと思うんですよ! いやーうまかったなぁ。まあそこから雨でほかの客が来ないことをいいことに延々しゃべり続けてたんですけどね。ここ二週間がやっぱり濃かったしいろいろ思うところも多かったんでいろんな議論をぶちまけておりました。

 そこからさらにサイゼに移動し、晩飯を食べながら延々議論。結局朝あってから帰るまでに普通に10時間ぐらいぶっ通しでしゃべり続けてましたね! でもこれぐらい発散しないと思考が停止してしまうんだ!!

 今日はここまで。