奇才曽我蕭白。

あの龍の目つきといったら!


 昨日が遅かったのでゆっくり目に起きてまったりしてから天王寺へ。いつものように担担麺を食べてからいざボストン美術館展でございます! ポスターの龍を見たときから行きたくてたまらなかったんですが、平日とはいえやはり人気展、なかなかの人出ございました。

 岡倉天心、ビゲロー、フェノロサという名前は知ってるけど具体的に何をしたのかはよくわかってない(凍れる音楽は有名ですけど)面々がかかわってたというボストン美術館。明治期の混乱で日本の美術品の価値が二束三文になって売り払われているのを価値に気づいた彼らが収集してくれた(でも海外流出には違いない)というわけです。まあえてして美術品の価値というのは時代によって変わるものですからね……。でもこんなすごいコレクションがボストンにあるということが悔しいですな! 素晴らしいのに!

 仏教美術もたくさんあって、主に曼荼羅が多く展示されてました。私はわりと曼荼羅とか仏画を見るのも好きなんですが、Yちゃんが苦手だそうです。これは後で鑑賞法について語ってた時に気づいたんですけど、私は基本的に絵画を見る時に自分を絵画の中へ投影して、それを楽しんで帰ってくる、というようなイメージなんですよね。Yちゃんは逆に絵画が発しているものを自分の中で受け止めるような感覚らしく、曼荼羅のようなものは力が強すぎてあてられてしまうようです。そういわれればあれだけ発散しているものを受け止めるのは難しいかなと思いますね……。いって味見して帰ってくるぐらいならちょうどいいし、それこそ拝むためのものなんでしょうけども。

 吉備真備入唐絵巻は予想以上に可愛かったです! 唐に行ったら阿倍仲麻呂が幽鬼になっていて、話を聞いてほだされて、一生懸命助けてくれるんですよ! 二人してぴよっとお空を飛んでるシーンがかわいすぎてどうしようかと思いました。ストーリー展開もわかりやすくて(でも碁石飲んでイカサマするのはどうかと思いますよ真備先生!)ああ正しく漫画なんだなぁ!と思ったのでした。フルカラー漫画ですよね。右から左ですしね。

 もう一つの平治物語絵巻はすごい迫力でした! 三条殿夜討巻ってことで思いっきり屋敷に火が放たれているんですがその情景の表現力がすごいんです。あんなに鮮やかな赤が残っているなんて!! 武士たちの様子や逃げ惑う公家や女房の様子など、本当に生き生きと描かれていてさっきがほのぼのファンタジー漫画ならこっちは激動のドキュメンタリー漫画だなと思いました。すんごい臨場感! 惜しむらくは人が群がっていてじっくり見られなかったことですけど。いやこれは本当に価値がある……!

 ボストンは当然ながら狩野派も集めているわけで、つい先日京都で見てきた山雪さんの屏風とかもありました! ていうか本当にいろんなの持ってるなぁボストン……。ちなみに山雪さんの屏風に至っては独特の白の使い方と神経質なほどのまっすぐな線で見ただけで結構わかるという。やっぱり好きです狩野山雪

 あとは初めて見たのが尾形光琳俵屋宗達をめっちゃリスペクトしていたらしく、松島図屏風という島々と白波を描いた屏風がすんごく良かったです! もう屏風からあふれ出んばかりの白波のパッションに打たれました。ていうか宗達光琳もちゃんと見たいんですけど!! 風神雷神はいつになったら関西に来てくれますかやっぱり東京に行かなきゃだめなんですか……。

 そして安心安定の若冲先生。白い鸚鵡の掛け軸があったんですが、一枚一枚羽に込められたレースのような表現にうっとりしてしまいました。本当に鳥が大好きですよね若冲先生!

 ハイライトはボストンが誇る曽我蕭白コレクション。曽我蕭白の作品をちゃんと見るのは初めてだったんですが、奇才と言われるだけあります。もう独創的な世界観でつっぱしっておられました。ある意味日本画というよりイラストといった方がしっくりくるかもしれません。だって水墨画なのに水墨画に見えないんですもの……!風仙図屏風とかすごかったですねぇ。画面全体に荒々しい黒い風が吹き荒れているんですがその迫力たるや! 墨一色でこんなに豊かな表現ができるのかと感動しきりでした。

 あのポスターになっていた最強に目つきの悪い龍はもとは襖だったという雲竜図。どう考えてもこのキャンバスじゃ狭すぎる!!!という曽我先生の叫びが聞こえてくるようでした。一部屋丸ごと一匹の龍で埋めてたみたいですが、どう考えてもその部屋で落ち着ける気がしません先生(笑)雲もいっそ意思を持っているかのようにうねっていて、ワンピースの尾田先生が描く波を思い出したり。そういう意味でも漫画チックというか、イラストチックなんですよね。そしてこの表情!! いやー本当に楽しかったです。また見たいけど、もうしばらくは来ないんだろうな……!

 ちなみにお土産コーナーではポストカードを買おうかどうか迷っていたら、まさかのフリスクケースを見つけて即購入しました。フリスクケースって初めて見たよ!! おかげで目つきの悪い龍が鞄の中に居座っております(笑)どう考えてもヤンキーが持ってるマッチ箱にしか見えないというね!

 モスでお茶してから森ノ宮にグッズだけを買いに行き、そのあとはひたすらロッテリアでだべっておりました。最初はいろいろ昨日と今日の興奮について語ってたんですが、後半からやはり自分探しの旅になっていき。いろいろ語ってはたと気づかされたのは「私は理性で本能をコントロールしすぎ」ということでした。そもそも私は食欲に関しても睡眠に関しても「我慢ができる」のですよ。友人と行動していたら、その友人がお腹がすいたかどうか、何が食べたいかを優先してそれに合わせるし、逆に一人で休みの日に家にいたら別にご飯はいいかな、と思ってスルーしても平気だったりしますし。そもそも食欲に関してコントロールできることを是としていたので、いざ食欲中枢に反乱を起こされた時も本当にピンときてなかったんですよね。「お腹が空かなくても食べようと思えば食べれる」とかそういうレベルだったので。まあそれで食べても消化吸収してくれないことは十分悟ったんですけども!

 なのでそこに関して私が反省すべきは、あまりにコントロールできてしまうあまり本能からのサインに無頓着になりすぎる、ということなんですよね。睡眠に関しても眠くなければ寝なければいいじゃない、とかそんなことを平気で思ってしまうので。寝てないわけじゃない、という言い訳で放置した結果が昨年のアレなのだとしたら、やっぱり私は規則正しい生活でもって己の睡眠をきちんと向き合わないといけないわけですよ。

 そしてこれはもう女子としてどうなんだといわれるレベルですが、先月いつ生理が来たかとか、そういうことをまったく気にしてないんですよね……。なんとなく月に1回来てるので正常だと思ってましたが、日数とか全然気にしてなかったし、特に腹も痛くないので全然考えてなかったんですが、結構それってよくないですよね女としてね……! 体重も気にしてないし、自分がいったいどれだけのカロリーを摂取してるのかもまったく気にしてないので。気にしすぎるのは良くないと思いますが、ここまで気にしてないのもどうなんだ、と。

 理性ですべてが制御できてしまうあまり、本能の叫びを無視してしまい、本能が暴走したときに倒れるのだとしたら、やはり私は理性でもって本能と対話する努力をしなければいけないのだと思います。まずは自分がいったいどれだけのカロリーをとっているのかをメモするところからはじめたいと思います……。Yちゃんに「それではダメなんだ!」と言われてものすごい衝撃を受けました。こんなに三成の気持ちになったのははじめてだよ……。

 お返しとばかりに自己肯定のお手伝いなどをしていたのですが、なまじ私も自分の大いなる欠点に気づいてしまったので難しいなぁとしみじみ思ってしまいました。ああ、人とはなんと難しい生き物か!!

 当然ながらがっちり閉店時間まで居座ったのでした。6時間ぐらいあっという間ですね!

 今日はここまで。