おかげ参り。

世情不安=大流行り。


 朝5時に祖母の声で起こされて母を起こしに行きました。叔母が朝起き会なる集会(一応神道系から派生した宗教団体に属すると思われるけれど、あえてそうは名乗っていない様子)に行っており、その付き合いから祖母と母も行くことになったようです。

 とりあえず寝なおしてもう一度6時半に起き、そこから準備してYちゃんを迎えに。今日は伊勢神宮にお参りに行くのです!

 名阪国道から伊勢自動車道を通って外宮を目指したのですが、山の天候がものすごく不安定で土砂降りになったり快晴になったり霧になったり神の地へ向かうための洗礼?思うぐらいにえらいことになってました。まあ雰囲気は出たよね。

 2時間半でぺろっと着いたので、まずは外宮から。こちらは天照大神の要請で丹波の国から呼び寄せられた豊受大御神というご飯の神様です。お腹すくじゃない!との仰せだったようですね。ご飯の神様が転じて広く産業の神様として祭られるようになり、広く信仰を集めているようです。大学生のときに一度来たことがあるのでその時の記憶を頼りに歩いていたんですが、今年はちょうど式年遷宮が行われるということでかなりの人でにぎわっておりました。たぶん前にきたのは10年前とかそんなレベルなので、そのときは更地だったところにぺっかぺかの新品の社殿が建っているのを見ると感慨深いものがありましたねー。

 その時は大勢で行ったのでガイドさんを頼んだのですが、ボランティアガイドのおじいさんが教えてくれた鳥居や瑞垣がもつ境界の意味や(神域とそれ以外を区切る/現世と常世の境界)、伊勢神宮には国家予算が投じられていたという話や、そういうトリビア的な知識を披露しました。荒魂と和魂の違いとか。あと鳥居の2本目が突き抜けてないのが伊勢神宮の特徴だとか、男性系の神様と女性系の神様で社殿の横木の本数と切り方が違うとか。

 中には別宮と呼ばれる正宮についで地位が高いとされる社があり、土宮はもともとの地主の神様、風宮はその名のとおり風の神様である級長津彦命級長戸辺命イザナギイザナミの子)で、もともとは末社だったのが元寇のときに神風を吹かせたということで別宮に昇格したという歴史を持っています。

 Yちゃんとも言ってたんですけどこの昇格という考え方がすごいなと。神様に地位があるのもおかしな話ですけど、そういう序列がきちんとあって、かつ何か起こせば昇格できるっていうのが面白いですよね。人間味あふれるというか。そもそも昇格させるのはいったい誰がなのかというのも疑問です。おそらくは人間の都合で神風吹かせてくれたからありがとうーってんで大きく祭るようになったんでしょうけど、立場上はやっぱり豊受さんが昇格させたことになるんですかね? 社長は天照だとしても外宮の中ってことは豊受さんが課長的な扱いなんだろうし、なんてことをあれやこれや言っておりました。(霊験とか関係なかった)

 他にも清盛はんが冠がふれた楠とかがあったり、月夜見命を祭った月夜見宮があったり。天照と素戔嗚と兄弟なはずなのにいまいち影が薄いつきよみさんですが、ちゃんと祭ってあるのを見たのは初めてかもしれません。古事記にも名前だけであとは一切登場しないし、夜っていってもいまいちご利益に結びつかないからかもしれませんけど。

 多賀宮は豊受さんの荒魂を祭っているということで行ってみたら、がっつり参拝列ができておりました。もはやテーマパークです。順番に並んで参拝してはい次の人!っていうのもすごい話ですよね……。前に来たときはこんなに人はいなかったんだけどなぁ。

 と思いつつ歩いていたら偶然亀岩の近くで本物の亀を発見。近くの池から出て来てたみたいなんですが、こりゃあ縁起がいいや!っていうのと、亀がめっちゃかわいい!!というのでひたすら激写。たぶん普通のミドリガメだと思うんですけどやっぱりかわいいなぁ。

 ひととおりお参りできたので、続いては内宮、ということで車で移動したらまあ駐車場が満車続き! 最終的に運動公園みたいなところの臨時駐車場に入れることになりました。連休とはいえ他の車のナンバーを見たら全国津々浦々から来られてて、人気ぶりを痛感。式年遷宮とはいえなんとなくおかげ参りが流行る=世情不安な方程式が見えてきてなんともいえない気持ちになりました。まあ神仏にすがりたくもなるんだろうな! 

 おかげ横丁までてくてく歩いて、まずは先に腹ごしらえ。伊勢うどんでなければなんでもいい、というYちゃんのリクエストにより漁師飯のお店に入りました。もうここまできたら欲望に忠実になろうではないか、ということで海鮮丼と漁師汁のセット2600円を注文。とりあえず、うまいに、決まっているよね……!(感動)

 海鮮丼はいわずもがなですが、漁師汁のダシがまあうまくて、かつ入っていたカニが柔らかくて殻まで食えてボリボリ食べてしまったり。なんだろう、食べれるって思うと食べちゃいますよね……。(高級料理のえび天とかエビフライは基本尻尾まで食う人間です/鮎はまるっと一匹たべるよ!)

 満腹になったあとはいざ内宮へ。こちらもいろいろ思い出してきました。はじめてきたのは小学生ぐらいのときの家族旅行で、志摩スペイン村に行きたい母と姉、伊勢神宮に行きたい父と私でまさかの現地解散するという旅行でした。まあお互いの要求が分かりやすくて良かったですよね!

 ちなみにその時の記憶で残っているのは、おかげ横丁伊勢うどんを食べたことと、五十鈴川で手を洗ったことぐらいですが、やっぱり景色とか覚えているものですね! その当時から神社が好きだったのは変わらないようです。

 大学生になってきたときはガイド付きでいろいろ解説してもらえたのと、おそらく海上自衛隊かなんかの皆さまが20人ぐらい制服でそろってお参りに来ていたのがなんかわかりやすく印象的だった記憶があります。

 そんな内宮ですが、当たり前のように人でわんさかあふれており、別宮はともかく正宮は本当にどこのテーマパーク?と思うぐらい行列ができておりました。大人気なのは素晴らしいことだと思うんですが、できることなら静かに人気のないところでお参りがしたいと思う我々であります(苦笑)

 でもなかなか良かったですよー。こちらの方がより遷宮予定の新居も見えましたし。並びつつYちゃん持参のビギナーズ古事記を読み直したりしておりました。何度読んでもニニギのくだりで男は変わらないんだなぁと思い、海幸・山幸の話でお兄ちゃんは別に悪くない!と擁護したくなったり、大物主のチャラさに改めてため息をついたり(褒めています)していました。天照は基本ワガママ女子だと思っていますが何か?(敬意のカケラもない)

 でも伊勢の歴史をたどると面白いんですよね。その昔はやっぱり皇室の祖先神として、皇族でないと信仰できないというか、専属の神様だったものが、中世になって天皇の力が弱くなってくると資金繰りに苦労して民衆に解放されたり。伊勢暦を発行して資金調達して、布教活動を全国に広げておかげ参りを流行らせて、その後も世情不安になるたびに定期的に流行るという伊勢神宮信仰。明治維新をきっかけに皇室専属へと戻されて意図的に改変されていくわけですが、そういうのを全部踏まえて伊勢の地でずーっと祭られている存在というのが面白いなぁと思います。いわゆるパワースポットとして今はもてはやされていますが、本来の意義的に個人のお願いをどうこうかなえてくれるもんではないと思うんですよね。

 いつも神社ではおみくじを買ってダメだしされるのが定番なのですが、伊勢神宮はさっきも書いたとおり個人のお願いをどうこうする神様ではないのでやっておらず。代わりに邪気を払うという幸鉾なるものを発見したので購入しました。なんかすんごい普通に強そうだったので! テレビ周りに加えてやろうと思います。ますますカオスになっていきますなぁ(ほくほく)

 かなり広くて歩いたので、カフェでまったり。水出しコーヒーがあったので頼んでみたんですが、個人的にはやっぱり普通のコーヒーの方がいいかな。飲みやすくて香りが良いのは確かなんですが、私はどうもコーヒーにもガツンときてほしいようです。

 最後におかげ横丁を冷やかしつつ実家と会社へのお土産を購入。もう赤福は結構です、ということであさりの佃煮とマドレーヌを買いました。まあお布施には違いない!
 
 疲れていたので若干眠気と戦いつつ、名阪国道をぶっとばして帰還しました。そのまま福住で降りて、スシローで晩御飯。お昼にたらふく海鮮を食べたくせにまたもやたらふく寿司を食べてしまいました。いやでも本当に久々にお寿司を目いっぱい食べた気がする……!

 実家にたどり着いてそのまま土産だけおいてとんぼ帰りで大阪に帰りました。

 今日はここまで。