ポルトガル旅行5日目。

 東の果てから西の果て。


 ホテルのグレードが明らかに下がったので、まあ朝食も下がるよね、ということでがっつりパンとコーヒーのみでした。ポルトのホテルはそれでもクロワッサンがあったんですが、こちらは通常の丸パン(硬い)のみ。いや小麦の味がしっかりしててもちろんおいしいんですけどね。バターとジャムしかないのもさびしいですけどね。朝食べない人も多いし仕方がないんでしょうけども。こんなときのために野菜ジュースを持ってきているんですけども!(せつない)

 今日はリスボンの西の街、シントラに向かいます。ロシオ駅までメトロで移動し、そこからCPに乗り換えて1時間ほど。シントラはかなり歴史的に古い街のようで、ムーア人と呼ばれるアラブ系の人々が築いた城跡のほか、王族の避暑地として宮殿がいくつか建てられたりしており、世界遺産に登録されています。

 ということで駅を降りたときからかなりの人! とりあえず地球の歩き方にしたがってバスにのって城跡まで向かいます。駅前はいわゆる観光地の賑わいという感じなのですが、坂道をどんどん登っていくと山の中へ。これまで都市ばっかりだったので山の中というのがなかなか新鮮です。

 かなりの坂道を頑張って登ったところにあるのがムーアの城跡。観光客はどうもその先のペーナ宮殿に先に行くようだったので、城跡に向かいます。一応公園として整備されているようで、見張り台のような入り口から中にはいって歩道を歩いていきます。緑があふれて木漏れ日が心地よくてなかなかいい感じ! やっぱり広葉樹の森はいいですねぇ。ほっこりさわやかな気持ちになります。実際の城までも距離があったのですが、天気もよかったしかなり気分のよいハイキングができました。

 城跡は結構広く、しっかり石の城壁や塔が残ってました! ヨーロッパの古城跡なんてそれだけでやはりロマンがありますねぇ。詳しい歴史とかいきさつとかはあんまりよくわかりませんでしたが、山の中にひっそりと忘れられたように城跡が残っているなんて! 結構うろうろしてはしゃいで写真をとっておりました。何せ相変わらず天気が最高に良いので青い空に石の塔が映えるのですよ。敬愛する前職の館長が写真が趣味で、ヨーロッパは空が青いので建物を撮るときは空を入れるといいとおっしゃっていて(逆に日本の建物をとるときは空の面積を狭くしたほうが良いそう)さもありなん、と思いました。青い空というのはそれだけでもう見ごたえがあるというものです! 本当に水平線の境界では空と海が混じっていて、思わず脳内BGMがアゲハ蝶でしたもの。

 ぐるっと一周まわって帰ってきてからは、ペーナ宮殿へ。歩いてもいけなくはなかったんですが何せ山道なので。あと暑い!っていうね。写真を見たときからなんだかオモチャみたいな城だなと思ってましたが、実際に中に入ってみるとその印象はますます強くなりました。すんごいごちゃ混ぜのお城なのです。

 散々見てきたゴシック様式やマヌエル様式はもちろん、イスラム様式やルネサンス様式も全部ぶっこんで、第一印象は「ぼくのかんがえたさいきょうのおしろ」でした。小さい子がレゴブロックで、しかも違うパッケージのやつを全部組み合わせて面白がって組み立てたらこうなった感。

 塔も丸かったり四角かったり、入り口もモザイクタイルだったり彫刻だったり、魔界の入り口みたいなゴブリン?がデーンて出張ってたり、タイルのデザインが兵士が戦っているところだったり、手すりが無駄にぐにゃぐにゃしていたり、とにかくごちゃまぜ。平たく言うと悪趣味なのです。ええ。

 とりあえず景色だけは最高なのでぐるっと外観はめぐってみましたが、壁も黄色かったり赤かったり白かったり、全体的な調和などはまるでガン無視でございます。元はといえば王家の別荘なわけで、中の部屋もそりゃあもう豪勢な装飾が施されておりまして。各部屋ごとに装飾のコンセプトも変えてあるわけで、すんごいモザイクタイルで敷き詰められているものもあれば、壁一面に前衛アート?みたいなものがかかれていたり、中華風だったり、アラブ風だったり、でっかいシャンデリアにわかりやすい置物がどーんってなってたり、肖像画が目いっぱい飾ってあったり、天蓋つきのベッドがあったり、日本人がイメージするお金持ちのおうち(成金)という感じ。

 ここまで来ると私はいっそ面白くなって楽しんでたんですが、もとは建築好きで現在も建設関係の仕事で設計をやっていたりする友人は完全に当てられまして。あまりの信念のなさと悪趣味さに酔ってグロッキーになっておりました。カフェで休憩するっていってしばらく突っ伏して動きませんでしたもん。私は小腹がすいたのでビールと謎のツナパンで休憩してましたがね(気にしない)。

 逆に私はバロックど真ん中の教会なんか見てると酔っちゃいますけどおそらく友人は各様式がごちゃ混ぜになってるほうが気持ち悪かったんでしょうね。まあ居心地がいいか悪いかでいったらまったく落ち着きませんけどねこの城!

 とりあえず歩けるぐらいまで回復した友人とともに城を後にし、バスを待って中心まで戻ります。爆睡しすぎてついうっかり降りるべきバス亭を逃してしまいましたけどまあご愛嬌です。

 一応お昼だけどどうする?と聞いたんですが、友人はまだしんどそうだし、私はさっき軽く食べたし、せっかくだからシントラ名物でも軽く食べるかーということでレストランへ。ケイジャーダというチーズタルトが有名なのだそうですが、つまんでみたところそれほど、という感じでした。そう思うと昨日のナタがうますぎたなぁ。あれは確かに納得のうまさでしたもの。

 腹ごしらえの後はシントラ宮殿へ。こちらは王家の避暑地として長年滞在した場所で、使われては補修されたり新しく作り直したりしており、そこに住む人々の息遣い的なものは感じられたのでまださっきの宮殿よりはマシかな、という感じでした。まあさっきのがインパクトありすぎたのでね。。。

 ちなみにぜんぜん関係ないところでテンションがあがったのは、どう考えてもキャミソールを着てセクシーポーズをとっているとしか思えないキリストの肖像画でしたけども。みんな発想が自由だよね! あとアズレージョもいっぱいあって、それはそれで面白かったんですけど描かれている人物画の顔というか表情が全部ギャクマンガチックというか、やる気の無い感じで面白かったです。あと窓辺から外を見たらワンピースに麦藁帽子をかぶった髪の長い女の子が風景を眺めていて、なんてヨーロッパなんだ!と感動して写真をとったりとか。そういうちょこちょこしたところも楽しんでおりました。

 一応シントラの有名どころはめぐったかな、ということで、そのままバスにのってロカ岬に向かいます。ロカ岬はユーラシア大陸最西端の岬。シントラからはバスで30分ほど。やっぱり疲れが出てバスに乗ると熟睡モードだったため、本当に寝て起きたら岬に到着しておりました。

 ひとまず先に到達証明書を仕入れるか、ということで小さい観光事務所みたいなところで依頼。申込書に名前を書いて渡すと電話を片手におっちゃんがさらさらっと名前を書いてよこしてくれました。10ユーロだと思ったんですがあとで計算したらお釣りが間違っていたことに気づいたんですがいまさら訴えることもできず、ええいここまできたのに小さいことは気にすんな!とうことで証明書とともに岬へ向かいます。

 夕焼けというにはまだだいぶ早い時間でしたが、そこには大いなる大西洋が一面に広がっておりました。真っ青な空、真っ青な海、はるかかなたの水平線にはアメリカ大陸があるわけです。よくもまあこんな何もないところから漕ぎ出していったものだとしみじみ思いました。ユーラシア大陸の東の果てからやってきた私がいま西の果ているのかと思うと感慨深いですね。ああ、世界はなんと大きく広く美しいのだろう!

 岬には記念碑がひとつあるだけで他には何もないので、一通り堪能したのちは帰りのバスへ。帰りはカスカイスという町までのバスになります。カスカイスからそのままCPでリスボンまで戻ったのですが、なかなかバラエティに富んだ一日でしたね。

 リスボンに戻ってからは、最後の夜だし晩御飯はどうするよ、ということになりまして。最初は地球の歩き方にのっていたワイナリー直営のレストランに行こうとその場所まで行ってみたのですが、店は見つからず。どうやら閉店か移転したっぽい?ということで別の店にすることに。

 友人が特に要望がないということだったので、私の独断と偏見で、初日に見かけた入り口のところにイワシがバーカウンターでビール飲んで絵を掲げている店に行くことになりました。いやだって初日からすんごい気になってたんですもん……。

 行ってみれば普通のレストランだったので、食べ納めということで私はイワシのグリルを注文。友人は肉が食べたい!ということで酢豚のような料理を頼んでおりました。お供はもちろんビール。飲み納めでもありますが、本当に今回は飲めるところは全部ビール飲んでやるというモットーでいったので、だいぶ飲んでやった気がします。し、実際スーパーボックが本当にバランスが良くておいしいビールだったので、それもすばらしい出会いでしたね(しみじみ)

 お料理はもちろんおいしく、最後にデザートとコーヒーも頼んでみたんですが、やはりスイーツに対する感覚は違うのだなと思いました(真顔)。うん、ポルトガルはナタでいいよ!

 いい気分の状態で最後にお土産を購入すべく、郊外にあるスペイン資本の大型デパート、エル・コンテ・イングレスへ。ここにきてエル・コンテかよといわれてしまいそうですが、実際スペインで行ったときはその品揃えとお値段に大変満足したわけで。今回も駅チカ(何なら地下鉄の駅とつながってる)大型ショッピングモールで夜22時まで開いているとなればエル・コンテしかなかったんですもの!

 行ってみれば安心安定のイオンモール感。早速スーパーに行ってみればすばらしい品揃え! それでもせっかくだからMade in Portugalを探せ!ということで頑張ってみました。クラッカーやビスケットなどから始まり、缶詰居酒屋で散々食べたイワシ缶(メーカーがバスコ・ダ・ガマで思わずテンション上がって10缶購入)、ワインコーナーではポートワインのお手軽ミニボトルセット、最終的にはスーパーボック6缶パックまで購入してしまいました。だって安いんだもの!

 帰りが徒歩ということを忘れて買い込んでしまいましたが、大満足で荷物を両手に下げてホテルに帰還したのでした。いやー堪能したなぁ今日も!!

 今日はここまで。