洋館バンザイ。

そしてこのタイミングという事実に運命を感じる。


 今回初めて大阪バスを利用したのですが、個人的にはJRバスより若干広め?な気がして良かったかなと思います。最近はどこのバスも値上がりしているので、その分サービス重視なところはあるのですが、やっぱりバスという手段の魅力はその価格なので、ある一定の安全性が確保されているなら安さ重視かな〜と思います。選択肢に加えておこう。

 時間通りに東京駅に到着したので、八重洲で身支度を整えてそのまま上野に移動。宇都宮行きは上野から出るのでコインロッカーに荷物を預けます。

 最近Yちゃんはホテル朝食ビュッフェにはまっているらしく、今回は三井ガーデンホテル上野の朝食ビュッフェへ。ひとり1500円だったのですが、なんと入っているレストランが私のお気に入りイタリアンのイルキャンティではないですか! Yちゃんは全然気にしてなかったらしいのですが、個人的にはこの店のサラダのドレッシングがすごく気に入っているので嬉しいサプライズ。まあ二日酔いで胃もたれ気味ではあったのですが、きっちり洋食と和食で二周回りましたよ!

 上野から山手線で駒込に移動。まずは旧古河庭園に向かいます。まず古河財閥なるものから不勉強であったわけですが、足尾銅山等、鉱業で一旗上げた財閥なのですね!(Wiki先生にきいてみた)華麗なる財閥の一族はそれはそれで興味はあるわけですが、今回のメインはバラ祭り開催中の庭園と洋館であります!

 洋館については10時半からのガイドツアーを予約していたので、まずは庭園。洋館の前にさまざまな種類のバラがたくさん植えられており、咲きはじめではありましたが見事でした! 庭園の形式などはそれほど詳しくないのですが、どうやらWiki先生によるとテラス状に配置するのはイタリア式で平面幾何学的に配置するのはフランス式らしいので、それらを組み合わせた洋風庭園とのことです。

 もともとすごくバラが好き!というわけではなかったのですが、ただいま絶賛英国に夢中ということでありまして、バラを愛でる眉毛を愛でる、というワンクッションを置いてバラを愛でておりました。花も緑も好きだけれど、個人的には愛でる花はどちらかというと楚々とした茶花のほうが好みなので、バラも大輪で咲き誇っているよりはまだつぼみがほころんだぐらいの小ぶりな方が好みだったりします。色もできれば鮮やかな色よりはちょっとくすんだほうが風情があっていいなと思うのはなんででしょうね。

 バラの写真をぱちぱち撮りつつ、続いては日本式庭園へ。こちらも作庭家として有名な小川治兵衛の作品であります。小川治兵衛ってすごく聞き覚えあるな……と思ったら、先日行った京都の無鄰菴もこの人だし、平安神宮も丸山公園もそうだし、長浜の慶雲館も小川治兵衛作だったのでした。どうりで散々見ているはずだわ! 旧古河庭園の日本庭園は高低差を利用しており、敷地も広いし、滝などもあって見ごたえがありました。和洋折衷といいますが、折衷なのは区切りの部分だけであとはそれぞれの世界観がきっちり表現されているのが良いと思います。本当に究極の贅沢だなぁとしみじみ。でも贅沢が文化を成熟させ発展させるのですよね、とも思いますが。

 時間がきたので楽しみにしていた洋館の内覧ツアーへ。これがもう予想以上に素敵でですね……!! まず驚いたのがこの洋館そもそも建てられてから数年しか住まれていなかったそうです。その後は迎賓館として使用され、関東大震災を経て、第二次世界大戦後は連合軍に接収されたのち、30年以上も放置されていてツタがはびこる幽霊屋敷のようになっていたそうでうす。まあそれはそれでロマンあふれる気もしますが。

 その後修復作業を施し、できる限り当時のものを残しつつ失われたものは再現しつつ今のように管理しているのだそうです。ほとんどが建てられた当初のものを使用しているんですって。そしてそれに耐えうるだけの作りであり材であり、技術ということだということがすごいですよねぇ。だってドアとかほとんど一枚板ですよ! すげぇや……。

 ちなみに1階は食堂、講堂、ビリヤード室、サンルームなどなど。いわゆる洋館、と聞いてイメージするつくりになっております。全てにおいてジョサイア・コンドル先生のこだわりが随所に見られて、かつそれに応える職人のすごさというのを体感しました。どれもこれも日本人がドラマなどでイメージする洋館そのまま、という感じです。まあ実際に撮影に使われたりもしてるんでしょうけど。食堂とか本気であの長い机の端と端で座って食べてたらしいですからね! 話がしづらかろうってことで音の反響が良いように部屋が設計されているらしいんですけど、そっち方向の金のかけかたがすごいなと思いました。

 階段を上がって2階はそれぞれの居室やゲストルームになるわけですが、またこの階段が素敵でねぇ! Yちゃんと踊り場萌えについて語ってましたが、つまりはドラマがスタートするのが階段なわけですよ、イメージですけど!

 ちなみに2階にはなんと和室がたくさんあります。ここがコンドル先生のすごいところなんですが、お雇い外国人として日本にやってきたコンドル先生、実は大の日本好き。日本に来てからますます日本が好きになってしまって、日本舞踊の師匠な奥さんもらって、水墨画の大家に無理やり頼み込んで弟子にしてもらって最終的には賞とって、というそんなコンドル先生なので、洋館と和館を別々に建てる当時の設計ではなくて、一緒にしたかったそうなのです。和洋折衷ではなく、和洋調和というのがコンドル先生のイメージなのだとか。

 もうこのあたりで私の脳内には日本にやってきたお雇いイギリス人な眉毛が脳内でくるくるしていたわけですが(余談)、とにかく日本文化に造詣がめちゃめちゃ深いコンドル先生なので、随所にそのこだわりが見られました。ちゃんとおかしいところはおかしいとわかっていつつ、それでも表現のためにいろんな設計をされております。洋館のドアをあけるとそこに板張りの廊下があって、それを抜けて和室に入り、和室のふすまを全部閉めると今度は洋の部分は見えなくなって、和の世界が成立する、という形です。いやー良かったなぁ本当に!

 きっちり1時間かけてツアーは終了。そしてなんとこの古河邸、一階の一部が喫茶店として利用されており、この洋館の中でお茶を楽しむことができるのです! 正直時間的にはギリギリでしたがここまできたら飲んでいきたい!ということで強行。しかしやはり、洋館からバラ園を眺めながら優雅に紅茶とケーキなどをいただくことのなんと贅沢なことか!!

 まあその後は駅まで早足で駆け抜け、大井町についてからは全力疾走するはめになったんですけどね。

 そんなこんなで午後は劇団四季、リトルマーメイドの鑑賞であります。実は小さいころからまったくディズニーに触れずに育っていたため、リトルマーメイドの原作映画を見たのもポルトガルに行くエミレーツの中という状態でしたが、やはりディズニー、曲がいいですねぇ! アンダーザーシーもキスザガールもすっごく良かったです! 原作自体がそんなに長い話じゃないので、新曲もけっこう追加されていて、それも見てて良かったですねぇ。

 まあストーリーはただのリトルマーメイドなので(真顔)それは置いといて、わりと想像していたよりはこじんまりした人数での演目なんだなーと思った次第です。でもやっぱりお魚たちの演出は綺麗でしたよー。お城とかのセットも工夫されていて絵本風にパタパタめくっていくステージは良かったです。まあ途中からだんだんMMDのステージやアクセサリに見えてきたのは何かの弊害だと思いますけど(笑)

 そんなこんなできっちり3時間堪能し、そこから上野に戻ってきて続いては旧岩崎邸へ! 今回はとことん近代建築を堪能しようという試みです。今岩崎邸が夜間ライトアップをしており、入場したのは17時頃だったんですが結構な人がいらっしゃいました。

 こちらの旧岩崎邸も旧古河邸に引き続きコンドル先生の作品であります。時期としてはこちらのほうが古く、スタンダードに洋館+和館で別々に建てられているのですが、まあさすが三菱財閥岩崎家の邸宅であります。金のかけ方のレベルが違う……! ただしく金に糸目をつけないというのはこういうことなのか、とおののく思いでありました。もちろん成金趣味だけではありません。使われている材木、石材、壁紙(金唐皮紙とかすごすぎた)、家具やその他調度品にいたるまでに全てに一級品を使用し、明治の超絶技巧でもってそれを表現するというのがなんというか気が遠くなると思いました。古河邸の落ち着いた雰囲気とは対極にある気がしました。いやもうドヤ感がすごい。

 ちなみに和館の方が住まいとして通常使われていた、ってことなんですがまあこちらも金のかけ方は洋館以上にすごかったですね。ただそれが一見するとわからないというのが和館の妙である気がします。パっと見はそう見えないけどよく見るとすごい、というような。

 どんどん夕暮れが進んでいくとお庭のほうからライトアップされるんですが、それもまた雰囲気があってすごく良かったです。でも本当に洋館というのはドラマの世界というか、非日常というか、現実とはかけ離れた空間だなーと思いますね。物語の中のような気分になります。でも確かにその時代を生きた人がいて、今もこうして残されているというのもまた納得するわけで。いやぁ面白いなぁ。

 とっぷりと日が暮れるまで居座り(ちなみに夜になると洋館はとたんに殺人事件が起きそうな雰囲気になるのはなぜでしょうね)、上野でご飯を食べてから宇都宮に移動しよう、ということに。上野駅周辺をうろうろしていたらイタリアンバルを発見したのでそのままゴー。ここが適当に入った割にすんごい当たりの店で、味もボリュームも価格的にもかなりレベルが高かったです! やったぜ!(東京でうまい店にはいると勝負に勝った気になる)

 気分よく荷物をひきとって、そこから急行で一路宇都宮へ。上野からだとだいたい2時間もかからずに着いちゃうんですよね。

 ビジネスホテルは今回とにかく価格重視でダブルルーム。まあ夜行で来たうえ丸一日歩きづめだったのでストンと眠りに落ちました。明日は日光観光だぜ!

 今日はここまで。